サンダーとは立場が違うんだよ


モデルがいないとお嘆きの貴兄も多いようで、やたらと愚痴を聞くことがある。
そうなると、自然に足が向くのが撮影会ってやつだが、大阪では6月4日に富士フィルム、11日にキヤノンの大撮影会が定番の万博記念公園と花博記念公園鶴見緑地で開催される。

モデルがいなけりゃ、そこへ出かけていくのが手っ取り早いが、もし撮りたいと日頃思っている女の子が近くにいても、何も出来ないようでは撮影会に行ってもいい写真が撮れる可能性は低い。
撮影技術を磨きに行くのであれば、頑張って!と応援したいが日頃の自分の不甲斐なさを晴らす目的ならおやめなさいよ。

身近な女の子とのコミュニケーションが上手く出来ないで、撮影会のモデル相手に他のカメラマンより一歩先を行って、特別な存在と意識させるのは難しいぞ。
なに?回りにそんな子いないって? 行動範囲狭いんとちゃう?街を歩いててもたくさん居ると思うんだけどねぇ。いれたらスカウトしたっていいんじゃないかな。

話しは変わって、サンダー平山のポートレートテクニックのビデオ全3巻を一本にまとめようとダビングしていたのであるが、これは5年前に出たビデオで、3年ほど見ることもなく人に貸していたのだが、ダビングしながら見ていて気がついたことがある。

サンダーはほとんどの撮影を三脚を使って撮っている。その理由はフレーミングが安定することが第一と考えているようだ。まずここで私は“?”である。
さて、構図を安定させることがそんなに大事なことなのであろうか・・・? 確かに大事であるが今の私には、いい表情を引き出すことの方が重要なのである。
だから、この段階で私とサンダーは違う方向に進んでいることになる。

そう言っても、サンダーは素晴らしい写真を撮るではないかと言ってる貴方、ちょっとお待ちなさい。ダビングしながらつい見入ってしまった私であるが、サンダーの撮ってるモデルはプロ中のプロなのだ。当然と言えば当然かもしれないが、これは凄く大きいことだ。

三脚に丁寧にカメラ固定してじっくりフレーミングしているサンダーを見ながら、どんなポーズと表情をしようかと考えているのがモデルの表情から分かったが、サンダーの「いくよ〜」って声を聞いた途端、いい表情がポンポン飛び出す。まぁ、営業スマイルではあるが、さすがにプロであるから当然である。

しかし、私にはモデルの技量に頼った撮影に見えたのである。確かにサンダーの持つ雰囲気も手伝ってはいるのだろうが、素人モデルが相手であればこの撮り方で上手く行くとは思えなかった。
撮る前には、しっかり衣装や髪のチェックをしながら、スキンシップを欠かせないサンダーであったが、撮りだしてしまうと静かなものであり、どちらかと言えばしっかり撮ることに集中しているように見えた。

私は、それを見ていて三脚なんかどけてしまって、手持ちで動きたいと思った。相手がいくらプロであろうとも、カメラマンが動くことの効果は絶大だ。
それは、まなちゃんと、ゆみちゃんの撮影で身をもって感じているし、茜ちゃんとて同じこと。
もちろん完全な素人の女の子では、カメラマンの仕掛けはすごく大事だし、最近撮られる事が増えてきている美花ちゃんなんかは、その差を今感じてくれているようである。

去年の夏の終わりに、まなちゃんと島根で水着撮影をした時も、レフを固定した三脚も私も胸まで海に浸かって撮ったし、まなちゃんが寝転べば私も水の中で寝転ぶ。やっぱりそんな動きを惜しんでいては、撮れる表情も撮れないままであるし、まなちゃんだけを冷たい水の中に居させることもできっこない。
ベンチに座れば、私も短いレンズに変えて同じベンチの隣に座る。些細な事だが心理的な部分で少しでも変化を感じられれば、やる価値はある。

ただ、そういうことに気が付かないままの人が多いと私は思っている。多分そんな人は私の言いたいことが理解できないかもしれないし、鈍感で気がついていないか、撮るのに必死でそこまで神経が行き届いていって場合もあるだろうが、ここはひとつ頭の片隅にでも置いといてもらいたい。
損はしないはずだから。

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