『素顔のままで』回想録−2


第3弾 1998.9.19 須磨海岸 Part1 Part2

この撮影は、9/15の敬老の日にロケハンに行ったのだが、その目的は撮影場所を下見するというよりも、クルマで海岸内に乗り込むことが可能かを確かめたかったのである。まずは、警邏中のお巡りさんに聞いてみると、どうもそれについては警察ではなく漁協の許可がいるらしいのだ。
それで、クルマの出入り口付近の釣り船屋さんのおじさんに交渉し、OKをとりつけた。
そして、まなちゃんには濡れてもいいワンピースを用意してもらったのである。

当日は昼前に須磨に到着し、トップライトの状態で打ち寄せる波と戯れるシーンの撮影から始まったが、30℃を超える勢いで気温は上がっているのに、人影はまばらであり、少し前までの人込みがウソのような須磨ビーチであった。まぁ、これも計算してこの日を選んだのであるから、狙い通りであったわけだ。
恐る恐る、波打ち際に近づいていたまなちゃんであるが、最後には全身水浸しになっていた。私も一濡れながらの撮影であったが、暑い時期はこうい撮影に限る。

てな具合で前半の撮影終了で、濡れた服を着替えて、日が傾いてからのトワイライト撮影まで水族園での休憩タイムとなった。こういうゆっくりと遊ぶ時間もいいものである。その時にまなちゃんが気に入っていたのがクラゲの水槽であった。

後半は、私がこの撮影で最初にイメージしていたシーンであるが、事前にイメージ写真をまなちゃんには送っていて、「こういうのなら出来そうな気がするよ」と返事をもらっていたのである。
その言葉とおり、昼間とは全く違う表情のまなちゃんがそこにいた。いや、私が撮影前にイメージしていた通りの姿で横たわっていたのである。その後はどう撮影が進んだのか覚えていないのである。それは2年の歳月が忘れさせてのではなく、その撮影直後でも記憶が定かでなかった。その訳は、意識して撮影をしたのではなく、イメージした世界に入り込んだまま撮影が進んだので、現実的な記憶として残らなかったということだ。

日も暮れかけた頃、この須磨海岸にクルマを乗り入れたことで実現出来た撮影に取りかかった。
それは、残り少なくなった青みを帯びた自然光をバックに、クルマのヘッドライトでライティングをしてしまおうということだ。そして使うフィルムはタングステン用である。
結果はご覧のとおりで、ライトが当たっているまなちゃんはナチュラルな発色で、背景はいっそう青く再現されているのである。


第4弾 1998.10.17 まなちゃんの部屋 Part1 Part2

この撮影は私が天気が悪い日に行なうつもりにしていたプランであり、天気がよければ第5弾で行った犬島に行く予定にしていたのである。
しかし、その日は台風の直撃で昼間でも真っ暗であったが、この撮影には逆に余計な光が無くて都合が良かったかもしれない。

台風の接近が予想されていたので、まなちゃんには撮影プランを事前に告げてあり、彼女もそのための用意をしてくれていたが、撮影前日の深夜にメールがあり、「今、メイクとヘアーを試しにやってみたが、落とすのがもったいないぐらいイケてるよー」ってことであった。こんな風に一緒に楽しめる撮影がしたかったので、早く寝ろと返事をしつつも、嬉しく感じたものである。

私は撮影直前に、タングステン球の小さなスタンドを買い足していたのだが、後にこのライトが仕上がりに大きく影響することとなった。

まずは、ナチュラルなパターンでの撮影から開始であるが、照明は窓枠にブルーライトを一灯取り付けて、姿見とレフで光を回し、窓から光が差し込んでいるような雰囲気を作った。
ベットでくつろぐまなちゃんであるが、スタジオでもなく自分の部屋の自分のベッドの上なのだから、そのまま自然な姿を見せてくれている。
そして、用意したタングステンの光が効果的なアクセントになったし、タングステンフィルムを使った撮影でも、それは生きている。

さて、お待ちかねの後半であるが前半のナチュラルパターンが終わって、私が「さて、チェンジしようか」って言うと、まなちゃんは嬉しそうにブラック系メイクをしに隣の部屋にかけて行った。
ブラック系のメイクとは言っても、ファンデーションまで濃くしたわけではないのだが、ここが私の腕の見せ所であった。事前にテスト撮影もしなかったのだが、カンで決めた露出で見事に褐色の肌に再現されており、まなちゃんの表情とポージングも含めて納得の出来であった。
この時も、赤みのあるタングステン球が効果的に肌の色に艶っぽさを出してくれていた。
また、この撮影では、95%をEF50mmF1.4で撮影しており、とにかく自然な距離感を大事にした撮影であった。
ちょうど、この頃はまなちゃんはジムに通っていた時期でもあり、かなり締まった身体をしてる。

この第4弾は私たちはナチュラル&ブラック系≠ニ呼んでいるが、第3弾から続いて改めてまなちゃんの凄さを思い知らされた撮影となり、まなちゃんも私の撮影をこの時に認めてくれたのかな?とも感じている。
そして、第3弾も含めた2作品が自他共に初期の『素顔のままで』を代表するものとなっている。

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