難しいことに挑みたい
今年は撮影会に参加してみたのがトピックスになるかもしれないが、今までと変わったことをしたと言えば、そうかもしれない。
モデルを選んで参加するというパターンも初めてのことで、選んだモデルは茜ちゃんだったが、実に撮りやすいモデルであった。その場の雰囲気を和ませることに関しては天才的なものがあるし、誰でもすんなりと撮影の輪に入って行けるモデルである。
それをいいことに、私としても最初からかなり馴れ馴れしくしてしまった部分もあるが、それがまたいい表情に繋がるから、カメラマンに上手くなったような錯覚を起こさせてしまうモデルであった。
クルマで言えば、ハイパワーのFR車から、最近のFFや4WDスポーツに乗り換えて六甲などを攻めると、運転が上手くなったように感じるのと近いものがあるかもしれない。だが、誰が乗っても楽で速いのである・・・しかし、つまんない。だから、いまだにFR人気は衰えないんだな。後ろ足で蹴って前足で方向を決めるのが自然の摂理でもあるし。
大きく脱線してしまったが、茜ちゃんは大人しいカメラマンであれば自分から仕掛けてくれるし、私のように図々しく迫っても臨機応変に応えてくれる。じっとしてても絵になるモデルであるので、遠くから望遠で撮ってもそれはそれで、写真晴れするのである。また、笑い顔に破綻がないので大崩れすることが絶対にないのだ。しっかりとミスせずにシャッターさえ切っておけばまず失敗がない。撮影会で撮るモデルとしては出来過ぎの茜ちゃんなのであった。
私としてはそんな茜ちゃんを撮ってそこそこの結果が出せていたし、茜ちゃん本人にも気に入ってもらえていたりで、イイ撮影が出来ていたと思っていたのである。
確かに茜ちゃんを撮っていると、気持ちよくフィルムを消費出来ていたのは確かである。
8月を最後に、茜ちゃんとの撮影から離れているが、よく考えてみると気持ちよく撮影するために参加費を払っていただけだったように思えていたのだ。
自分がカメラマンであると言うのであれば、そんな誰が撮ってもイイ結果が出せるモデルを撮って喜んでいてもいいのだろうか?って疑問が湧き出し、撮影会から遠ざかるようにした。忙しいとか何とか言っても、本当にその気になれば、都合を着けてきたのが私である。
撮影よりも、茜ちゃんに会うのが目的のファンの人とは根本的に違うのだから。
そんな茜ちゃんが相手であっても、誰も撮れなかったシーンが撮れれば価値があるのでは・・・とも思ったが、撮影会という枠の中では、それもままならないわけで、中途半端は好きじゃない。それに対して、ひとつ大きなことを計画してみたものの、それも色々と難しい問題があった。
元々、一匹狼的な私としては、周りの状況を上手く調整し、手順を踏んで物事を動かすことが得意ではない。「あー、もうええわー」って感じになったのである。
という事で、茜ちゃんとの撮影は恐らく今年が最初で最後ってことになりそうだ。
では、まなちゃんは撮りやすいモデルではないのか?って疑問が出そうだが、決して誰もが撮りやすいモデルだと感じることは無いだろう。最初にまなちゃんを撮ったのは、当時の私が所属していた団体の撮影会であった。その時の参加者の話では、いつシャッターを切ればいいのかタイミングが難しいとか、切ろうと思ったら次の動きに移っているし、動きが速いので難しい・・・などと言う声が出ていたのを覚えている。確かにそういう部分はあったが、私としてはそれがなんとも新鮮であり、魅力的に見えたのだ。
こんなことがあった。当時の撮影雑記にも書いたのだが、下を向いているまなちゃんに、椅子の上から大きな声で、「まなちゃん!!ホラッこっち」と呼んでみたのだ。普通のモデルならハッと驚いたように目を丸くして見てくれるのだが、まなちゃんは、あたかもそれを予測していたかのごとく、落ち着いて自分のペースを崩さず、すーっと目線を上げたのである。こんなモデルは後にも先にもまなちゃんだけである。
そして、その直後には、何としてでもこれからの自分の作品創りのパートナーとして、まなちゃんが必要だと感じたのである。それは直感に近いものがあった。このまなちゃんを逃すと、いつまたこんな出会いがあるか分かったもんじゃないと思ったし、知り合いには「絶対にベストパートナーとして、あちこち連れて歩く」と予言とも宣言とも言えることをやっていたのである。
そして、今では阿吽の呼吸とも言える状態になったが、まだまだ私たちは、これからだと思っている。
ゆみちゃんだって、茜ちゃんに近い雰囲気を持ってはいるが、なかなか手強い相手である。頑固なほど自分の考えを主張して、納得するまでそれを曲げることはない。
私もそう言う部分があるので、意見を戦わせることがあるのだが、それも作品創りの相手としては、頼もしいばかりである。
他にも、色々と撮影する機会があったのだが、茜ちゃんほど撮りやすいモデルはそうはいない。しかし、撮影の中で、息が合いだしリズムが出て来た時は、なかなか気持ちの良いものである。
楽でいい結果が出せることに越したことは無いが、そうでない道だってあるのだ。
と言う事で、今後神戸のモデル事務所の宣材を一気に引き受けることになりそうだが、一度に数人を相手にしなくてはいけない状況になる。一人ずつ完全に時間を区切って撮るのもひとつだが、私は、ロケーション毎に入れ替わり立ち代り撮っても面白いと思っている。自分の撮影時間にやってきて、終わったらさっさと帰るってのじゃなく、最初から最後まで「みんなで一緒に過ごそうよ」って感じである。少しでも永く一緒に過ごせば、それだけでも何かが変わるような気がするのだ。
そこのモデルの一人と今話をしたが、80人居るらしいので、全員撮るとなると・・・こりゃ大変だぁ。