マンツーマン撮影に挑もう


私のところには、多くのカメラマンからメールが舞い込んでくるが、撮影会で撮らされるだけでは満足していない人が殆んどである。そして、みんなが口を揃えて撮影雑記を参考にしてくれていると言ってくれているが、個人撮影もレフを持ってくれる人がいないので断念しているという話を聞くと、なぜもっと工夫しないのか不思議でならない。

私は元々、誰かに見られながら撮影するのは好きではなかった、まぁ最所は自信が無かったのかもしれないが、そうなればマンツーマンで撮るしか方法は無いわけだ。しかし、しっかりとした撮影をしようと思えば、レフは欠かせない。そうなれば、自分ひとりでどうにかするしかないわけである。それを両立させるためには、レフをなんとかして固定させる方法を考える必要があるわけだ。
まぁ、まなちゃんと二人っきりになりたかったってのも正直言ってあるわけだが。

そこで、簡単に諦めてしまうようでは、このレフの問題だけじゃなくてイイ写真を撮ること自体が難しい。こんなことよりもっと工夫しなければならないことが、実際の撮影ではいくらでもあるわけだから。
ここで、金持ちと貧乏人で選択肢は別れる。カメラ機材はボディーとレンズだけだと思い込んでいる人が多いが、レフも欠かせないどころか、欲しいレンズ一本を我慢してでも揃えて欲しいものである。三脚は誰でも持っているはず?だよな・・・。それも重量級の三脚の一つや二つ持ってなければ、それも揃えて欲しいものだ。

予算があるのであれば、カメラ屋さんでその旨を伝えれば揃えてくれるはずである。私が使っているロールレフとそれを三脚を固定する金具のセットで3万円あれば足りるはずである。言っておくが一応はプロ用機材って位置付けになっているので、恥ずかしいあら見苦しい値切りはやめる事だ。毎年カメラショウの時期に出る機材のカタログをじっくり探しても見つかるはずだし、実際にショウでメーカーの営業マンに見繕ってもらうのもいいだろう。
まぁ、高いRQ系の撮影会に参加するのを1回我慢すれば、参加費とフィルム代で買えるはずだ。
物欲に燃える人を多く見かけるが、こう言う部分でなく、ボディーやレンズのことばかり言ってる人ばかりである。そういうヤツはすべてお膳立てされた撮影会で撮らされ続けて、回りに機材の自慢でも一生やってればいいのだ。

もうフィルム代と現像費だけで精一杯だという人や、多少なりとも手先が器用な人。それに加えて、簡単に高い市販品を買って間に合わせるがしゃくにさわる人は迷わず自作である。当時の私は、この3つすべての要素を満たしていたように記憶している。

ここで、後はどれだけ個人撮影に進みたいかの情熱が有るか無いかにかかっているわけだ。この時に本当に撮りたいと思えるモデルが居ると居ないのでは大きくこの部分が違ってくる。とにかくモデルがいなければ、撮影は出来ないのだから、レフを揃えてからモデルを探すのもありだが、やはりこの場合はイマイチ踏み出せないようである。
モデルが見つかってから、慌てて私に自作のレフの作り方を聞いてきた人も居たが、人から聞いてそれをコピーするのもいいが、自分の撮影しているところをイメージしながら、または移動手段などを考えた上で、一から構想を練ってみてもバチは当たらないはずだ。

さて自作するとなると、向かうのはホームセンターしか無い。とにかく近所で一番デカイホームセンターに直行して、そこにある素材と自分の撮影スタイルを照らし合わせながら、悩むのである。
私は一日中ホームセンターで過ごせるほどこの手の店が好きであるから、素材選びも楽しいものであった。
先ずは、軽くて白い素材で折りたためる構造にすることで、大体の撮影はカバーできるはずだ。この折りたたみ構造をどうやって実現するかが、悩みどころであるが大した問題ではない。最大の難関は、やはり三脚の雲台とどう合体させるかである。レフを自由に固定しながら雲台に取り付けるかであるが、私の場合は一番安いクイックシューを利用している。また、銀レフと白レフの両方を使い分けることも考慮しなければならない。
それに加えて、レフにはかなりの力がかかることが多く、重量級のGITZOの三脚もろとも吹き飛ばされたことも一度や二度ではなく、雲台のネジが折れたこともある。だから、CAPA誌で馬場氏が紹介しているバグネット式なんか、実用性は殆んどないと言い切れる。

私はこの自作レフで、まなちゃんとの撮影の半分はこなしているし、ロールレフが主流となった最近でも、自作レフの出番は無くなっていない。折りたたみということで、半分に折って立て掛けることで、座りポーズの追加レフとしての使い道もあるし、自然光を利用した屋内撮影でも重宝した。かなりボロボロになってはいるが、これからも私の撮影に欠かせないものになるだろう。

最後に、完全なマンツーマンでの撮影が好きな私は、こうやってレフ係りを探すこともなく撮影を行っているが、モデルと二人っきりでの撮影に価値を感じているからこそ、このようなスタイルを貫いているのである。モデルの女の子と仲良くなれて信頼してもらえていれば、二人っきりでクルマで移動することなど警戒されるはずも無く、それどころか一緒に撮影地へのドライブやその地でのハイキングも楽しめるのである。そんな雰囲気が作れればそれを撮影で活かさなくては勿体無いが、誰かが同行しているとなかなかそういう空気は作りにくい。言ってみればデートに友達を連れてくるようなものである。
それで、結局マンツーマン撮影が上手く行くか行かないかは、レフ云々の問題じゃなくて、一緒に二人だけの時間を過ごしてもらえるだけの信頼感を持ってもらえるかにかかっているのである。


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