機械を撮るのは難しい


最近、私がD300でよく被写体にしているVR−4だが、スタイリッシュじゃないことに今頃になって気付いたわけだ。車高を落として、タイヤをボディとツライチにしたところで獰猛さや精悍さは増すものの、少しもオシャレではないのだ。私はそういう部分に惹かれたのではなく、このデザインが気に入ったのだが、売れない不人気車のレッテルを貼られて生産中止に追い込まれたのは、そういう理由もひとつあったのかもしれない。まず女性にはウケないだろうことは容易に想像がつく。

その事実にやっと気付いたわけだが、そのきっかけは撮影のイメージを描いていたところ、神戸の旧居留地などの洒落た都会の風景に溶け込ませようと思っても、どうしても馴染まないのである。
獰猛なスタイルの典型のようなランボルギーニだとカッコよくおさまるのだから、デザインに何かが足らないのは間違いないだろう。
実際、旧居留地の大丸周辺の道路は、欧州車を見せびらかす名所になっているようで、意味もなくうろついているガイシャたちを見かける。そしてラストにフェラーリかランボルギーニが現れてそれらを蹴散らしてお開きになる。

ポルシェ、ベンツ、BMW、アウディ・・・と色々あるが、どれも個性的でかつオシャレである。比べる相手が凄すぎるという意見も聞こえてきそうなので、国産車に目をやると、同じステーションワゴンでも、レガシーやアコード、アテンザに比べると、厳つさではダントツなのに、スタイリッシュ度は完敗であると言わざるを得ない。そこがミツビシ車が売れなくて困っている要因なのかもしれない。
万人が見て、どれを選ぶかといえば最後まで残るのは明らかである。しかし、私は一番好きなのであるから変人なのかもしれない。
知り合いのオーナーもほとんどが長期に渡って乗り続けているわけで、好みにハマると強いのかもしれないが、そうでない人は見向きもしないのであろう。しかし、それはある意味貴重な存在かもしれないし、今後このようなクルマは二度と出てこ無いだろうと思えるが、軍艦造ってる会社だからセンスが無いのかもしれないなー。

今まで、そういう部分を気にしてクルマ選びをして来なかった私だが、撮影の被写体として考えた場合、かなり難しいモデルといえそうだ。人間のモデルだって、どんなシチュエーションにでも溶け込めるモデルもいれば、そうでないモデルもいるが、そういうことだったのである。

だからと言って、簡単にNGと諦めたくはないので、さらにイメージを膨らませるわけだが、なかなかしっくり来ないのが正直なところ。これほど都会的でないクルマも珍しいが、なんとか救いの手を差し伸べてやりたいものである。
例えば、オシャレな街のビルや街灯に沿ってたたずむ姿は似合わなくても、その道路を遮るように斜めに停めたりしたら、アグレッシブなデザインにマッチするかもしれない。しかし、こんな撮影をしてたら免許が無くなってしまうことになる。夜明け間近の時間帯であれば交通量がほとんど無いので可能かもしれないが、そこまでやる元気は正直ない。あとは誰かにドライバーをお願いして動きの中から狙うのが一番かもしれないが、それを都会の真ん中でやるのは気が進まない。
そうなると、ボディ全体をフレーミングすることを諦めて、フェンダーの膨らみに写り込むトワイライトのイルミネーションとかで逃げるか・・・ いやいや、それでは意味が無い、それではパーツモデルと同じではないか。フルショットがあって、その中にアクセントとしてボディーの一部があるぐらいにしておきたい。

後は、モデルを横に立たせての撮影もありだろうが、ショーのコンパニオン風にだけは絶対にしたくない。
ナチュラルさがあってこそだと思うが、そうなるとどうしても主役はモデルの女の子であり、クルマではなくなる。あくまで脇役に徹した小道具的な扱いに止めておかないと、どっちつかずの写真になってしまうだろう。まぁ、誰もそんなところまで気にしないだろうが。
改めて考えると、ショーには必ずコスチュームを身にまとったモデルが横に立っているが、あれは何の意味があるんだろうって思って思ってしまう。どっちを目立たせたいのか?メーカーの広報にあの娘たちが存在する意味を一度聞いてみたいものだ。


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