雑誌のポートレート特集って・・・
最近、ポートレートを特集したカメラ雑誌やポートレート専門に編集された増刊号の類を書店でよく目にするようになった。しかし、私があちこちロケハンしていても、そのような撮影風景に出くわすことはまったくと言っていいほど無い。みんなどこでひっそりと撮影しているのだろうか?それとも、私の地元ではそんなカメラマンはいないのだろうか?
しかし、野鳥を撮りに来ている老カメラマンはかなりの勢いで増えているし、風景を撮りにキヤノン・ユーザーなら白いレンズを誇らしげに構える姿も多く見かけるようになった。
先日、交通量の結構あるバイパスの高架下にあたる盆地のような場所で撮影していると、路側帯に停車したドライバーが、降りてきてガードレールに寄りかかってじっとこちらの様子を見ていたことがあった。大きなレフを広げての撮影は目立つが、私の方は見かけることがまったく無い。
大阪なら、万博日本庭園や鶴見緑地など定番スポットに行けば、お目にかかれるのかも知れない。私があまりそういうところではなく、人が少ない場所を好むからなのかもしれないが、実際に雑誌で頻繁に紹介するほどではないのというのが実感である。
そういう特集では、個人撮影をベースに構成されていることがほとんどだが、現実はそんな撮影が出来る人がどれだけいるかってことである。まず、根本的なマーケティングが間違っていないだろうか。それとも関東ではかなりのニーズがあるのかもしれないが、たいした数ではないだろう。
撮影会というものが、最近どれぐらいの頻度で行われているのか知らないが、気軽に参加できる撮影会では、標準レンズで撮れるチャンスが多いとは思えない。また、モデルの立ち位置やライティングを一般参加者がどの程度まで仕切れるかも大きい。
どこかのRQ撮影会ではモデルに話しかけることがNGになったとも聞くが、こんな撮影会ではカメラ操作の練習にしかならない。また、そういう撮影会のスタッフはろくにレフの使い方も知らないケースが多く、吸収できることは少ない。
ポージングも、モデル任せであることが多いが、中には出しゃばりな参加者がいて、不自然極まりないポーズを要求することがあり、モデルも他のカメラマンもうんざりなんてことも少なくない。だいたい、そんなカメラマンが要求したヘンなポーズを横からいただく気には誰もならないだろう。
それなら、参加者は多いが大規模な撮影会に行って、指導に来ている一流どころのカメラマンのノウハウを少しでも盗んだ方がよっぽどためになる。
撮影会としてオススメできるのは、関東であるが友人の画伯@磯村んちのACCESSだろうか。今後個人撮影を目指しているなら、尋ねてみて損はないはずだ。対モデルに関しても得るものがあるはずである。
幸運にも個人撮影に初めて持ち込めることになって、不安材料が多い場合には、雑誌の記事は役に立つだろう。また、ベテランでも、そういえばこんな撮り方も過去にしたことあるな。なんて、自分の引き出しの整理の助けにはなるかもしれない。
あと、最近の撮り方の流行りもなんとなく感じられるということもある。
しかし、長く撮っている人は自分のスタイルを持っていて当然であり、今さら雑誌の作例を見て作風を変えるのはナンセンスである。せめて、新しい切り口のヒントにする程度であろう。
と言うことで、私は人の作品はあまり見ないし、興味がない。だから、ネット上のポートレートのサイトを見て回ることもほとんど無いのである。時々、神谷則明氏のサイトには行って、彼は相変わらず精力的に頑張っているなと拍手を送るぐらいである。そうやって意見交換をした相手ぐらいしか見なくなって久しいわけである。
デートで出かけたついでに、彼女の記念写真を撮った程度のレベルから、記念写真からポートレートへステップアップしたいと思っている人は多いと思うのである。
植物園に行って、マクロレンズで必死で花の撮影をしているのに、隣にいる彼女の写真は、記念写真だけというケースが多いのではないだろうか。
デジタル一眼を買って、写真を頑張るぞと張り切ってはみたものの、彼女の写真は頑張る範疇に入っていないのだと思うのである。花の写真を撮るためには、大口径のマクロレンズや、望遠ズームは持っていると考えられるが、それがあれば十分にいいポートレートレンズになるのである。そして、ポートレートでの必需品であるレフ板ば、逆に花の撮影で便利に使えることになるから、折りたためば大した荷物にならないので持って行きたいものである。
もちろん、そんな時は花を豪勢にフレーミングしようなんて欲張りなことを考えてはいけない。アウトフォーカスにして彼女が主役と称えることこそが、ポートレートなのである。
そんな、これからの人は雑誌のポートレート特集を大いに役立てて、ゴールデンウィークに備えてほしい。