変化に気付けるか


最近、愛車の大リファインを行った。外観上はほとんど変化のないところであるが、走りの質がまったく別物に生まれ変わった。
それは、足回りを大掛かりに変更したからである。サスペンションは総取替えとなり、室内から減衰力の調整が出来る文明の利器まで付けてしまったから、路面状況やシチュエーションが変わるのが楽しみになってくる。
もちろん、私一人でワインディングを楽しむ時と、誰かを同乗させる時では真逆のセッティングになるのは言うまでもないが、瞬時にしてそれが出来てしまうのはエライの一言につきる。

地味なパーツであるが、スタビライザーなるものを強化品に交換したので、コーナーリング中の左右の傾きが抑えられて実に気分がいい。
これは単なる鉄の棒なのだが、これの脱着作業はプロペラシャフトなどの取り外しなどが必要になり手間取ったものの、その甲斐は十分あったといえる。

サスペンションを、違うメーカーのかなりハードなものにしたことで、それまでのフワして、それでいて跳ねまくる感じがきれいに消え、ビシっと安定してくれている。
足回りを固めてしまうと、前オーナーの付けていたタイヤのままでは到底受け止められないわけで、タイヤもラジアルの最高峰に交換である。
このタイヤもサイドのワイヤーが一部断線しており、いつバーストしてもおかしくない状態だったので、交換しなければとずっと思っていたが、中途半端なものにしなくて良かった。

最近は、大陸性の安いタイヤが国内でかなり流通してきたこともあり、タイヤは高いというイメージが薄れてきている。しかし、国産の最高のハイグリップ・タイヤに換えてみて、タイヤの重要性を改めて感じている。
乗り心地は確実に硬くなってしまったが、私はこういうのは結構好きである。そしてなにより安心感が違う。スピードが上がれば上がるほど、それを感じるのである。

写真で言えば、レンズのようなものではないだろうか、安いレンズでも写真は撮れるし、軽くて小さいので携帯性もよくて便利であるが、イザという時の安心感や上がりのキレが高級レンズにはどう頑張っても及ばない。
タイヤも同じで、安いタイヤでも普通の街乗りでは十分であるが、それ以上を求めるべきではない。乗り心地は問題なくても、コーナーをハイスピードで駆け抜けようものなら、腰砕けと横滑りでどうにもならない。
その点、ハイグリップな高性能タイヤはお世辞にも乗り心地も良いとはいえないし、ノイズもする。轍でハンドルを取られることだってあるわけだが、ちょっとハイスピードで走らてみれば、安心感がまったく違うのである。

そして、何事もバランスが重要なのである。タイヤだけ換えてもサスペンションがそのグリップ力を支えきれないし、その逆もしかり。他には、見栄えが良いからだろうが、真っ赤な強力なブレーキに換えているのに、タイヤは安物のアジアンタイヤってのもいたりして、路面と戦って止まるのはタイヤであることに気付いて欲しいものである。

私の場合は、納車直後に車高調サスペンションを導入し、それからエンジンパワーを上げて行ったわけである。順序はこれでよかったが、サスペンションの選択を誤ったのが運のつきであった。
パワーが上がっても、それを受け止めることができず、安心して踏めない足となってしまったのである。

「こりゃいかん」ということで、オーディオのグレードアップを延期して、足回りに余裕を持たせるぐらいのレベルに変更する計画をスタートさせたのである。もともと、ステーション・ワゴンであるから、サーキットを走ったり峠を攻めるオーナーは少ない。と言うことで、サスペンションのメーカーもそういう品揃えが少ないのである。その中からかなりスポーツ志向のモデルを選んだのは当然である。

タイヤを支える部分が安定したことで、タイヤ選びの幅が広がり、いいタイヤを組んでみたら思った以上に私好みになったことで、さらに上のタイヤを見つけて調達してしまった。
現行のGT−Rや、シビックTYPE−R、インプレッサのスポーツ志向の一部車種などに純正指定されているタイヤである。なんだ、純正タイヤかと侮るなかれ。
サーキットでタイムを出すことを念頭においた専用設計になっているのである。このレベルの車種を購入する人なら、乗り心地が悪かったりハンドルが轍に取られたりすることも納得してくれるだろうという発想のもとで、ブリヂストンを巻き込んでの設計となる。
車種ごとにゴム成分の配合が違ったりするようなので、我がVR−4との相性は疑問であるが、そこを悩みだしたらきりが無い。で、結果は思った以上のステアリング・レスポンスで、クルマが変わったのかと思えるほどである。

やっぱり、手を入れただけ効果が出てくるから楽しいのであって、金と労力をかけてもそれに見合う効果が感じられないほどつまらないものは無い。レンズもそうだが、鈍感な人も結構多く、高額な出費をしたのだからイイに決まっていると、悔し紛れに思い込むしかない人もいるようだ。
釣竿だって同じである。自分の目的にマッチしたロッドを選ぶ感性と、そに違いを実際に感じる五感が働くかが大事である。ルアーの動きや湖底の様子まで察知できるような感度のいいロッドが欲しいのか、しなやかさが欲しいのかとかである。ゴルフをしない私だが、クラブ選びも多分同じなんだと思うのである。
ただ、写真が適当なコンデジ写真で、申し訳ない・・・


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