スキンダイビング


今シーズンは2回日本海に行ってきた。最初は7月中旬の子供たちが夏休みに入る前で、次は8月になってすぐである。夏休みの方が人が多いと思ったが、逆だったのが不思議である。最近は私たちの子供の頃とは違うようである。
朝の6時に出て8時に着いてしまって驚いた。兵庫県で日本海といえば竹野が有名だが、そこは佐津と言って少し西にあるのだが、海水浴場に適した遠浅の浜辺ではないので、人は昔から少なかった。昔と言えば、私が小学生の時から父親に連れられてよく行っていたところなのである。
遠浅じゃないが、それが私たち親子にとっては都合が良かったわけだ。それは目的がダイビングであったからだ。と言うことで、私は小学生のころからスキューバをやっていたのである。父親がクラブの会長でインストラクターであったので、メンバーの講習について行って自然に覚えてしまっていたのである。

大昔のことであるから、今と違って潜って魚を水中銃やハンドスピア(手銛)で突いたり、サザエやアワビを普通に獲っていた。馴染みの民宿のオヤジが船で潜るポイントに連れて行ってくれたぐらいだからいい時代であった。
今では、ちょっと躊躇するような場所だが、福井の美浜原発の近くにも潜りに行ったものである。

当時は土曜日の夕方に出発して、その夜は父親がライトを持って潜っているのを、砂浜に寝転がって待っていたような子供であった。真っ暗な海底でライトの光の筋が動くのをワクワクしながら見ていた。一時間ほどすると、大きな魚を仕留めた父親が上がってくるのであった。私たちだけでは食べきれないほどの大きさのと量の魚であるから、この民宿の食材になるってわけだ。

そんな思い出の詰まった、佐津に20年ぶりぐらいに行ってきたのである。今でも佐津はダイバーたちに人気のようで、15人ぐらいが講習を行っていた。
懐かしく思いながら、私はシュノーケルでスキンダイビングである。7月の一回目は水中銃どころか、ハンドスピアも持たず、ウエットスーツも着ずに。
久しぶりに浜辺の横の岩場を潜ると、誰も気づかないようなところに居るサザエを見つけてしまうのである。子供のころから漁師のように潜っていたのだから、どこに居るかが自然に分かってしまうのである。
アワビも見つけたが、素手で獲るわけにもいかないし、時代が違うのだからそのまま何も獲らずに上がってきた。
銛の類は使ってはいけないのかと思ったが、結構使っている人がいたので、少しぐらいなら魚を獲って遊ぶぐらいはいいのかなってところである。

久々に佐津に行ってきたのには、大きな目的があったのである。それは散骨をするためだったのである。今年はじめに佐津の海を愛した父が亡くなり、夏になれば連れて来ようと心に決めていた。一握りの骨を細かくして、ビンに入れて持ってきたのである。それを潜りながら撒いたのである。骨の粒はひらひらと潮の流れに舞っていったが、これで好きな海で楽しくやれることだろう。
散骨を潜ってする人もなかなかいないだろうが、喜んでくれているはずである。
これで、今頃は好きな海で遊んでいることだろう。

色々と忙しくしていて、ずっと海に行けてなかったのだが、驚いたことがあった。
多くの人が上半身ハダカではないのである。大人も子供も男も女も。UVカット素材のラッシュガードを着ている人の多いこと多いこと。
早速、嫁さんのラッシュガードと私用にウエットトップを買って、8月にはそれを着て潜ったが、なかなか快適である。日焼けする心配もないし、水の冷たさもかなり防げるのである。ただ、少しばかり浮力があるので、ウェイトを2kgほど巻いた方が、楽に潜れるだろう。
この1mmと薄いウエットスーツ生地のウエットトップを見て、子供のころに父親が私に用意してくれた、3mm厚のベストを思い出してしまった。

海の水は場所によって水温の変化が大きい。深く潜らなくても潮の流れでヒンヤリすることが多く、薄くても一枚着ているだけで全然違うのである。ただし、水を通してしまう生地ではダメなのである。さらにブカブカで身体との隙間の大きいのもダメ。ある程度フィットしていることで、少しずつ海水が浸入してくることになるが、その海水がスーツと皮膚の間に留まり、それが体温で温まって保温してくれるってわけだ。
だから、ウエット・スーツはオーダーで作った方がいいのである。

往復で270kmのドライブだが、渋滞が無ければちょうどいい距離だ。久々に楽しかったし、日除けのタープなども買い揃えたので、これからはちょくちょく行ってみようと思ったのである。


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