EOS 5D Mark3導入
私は遅いデジ一デビューである。ニコンのD300の発売と同時に、長年慣れ親しんだキヤノンから浮気して、ニコンでデジタル始動したわけだ。
しかし、コンピュータ関係の仕事を辞めて、カメラマンとして再出発するにあたり、悩んだ末に再びキヤノンに戻ってきたのである。
ニコンのレンズもナノクリを含んで充実してきたところで、仕事の道具としてはフルサイズ機を導入する必要がある。単純にD700の中古を買うという手っ取り早く低コストな道もあるが、流石にこれからカメラマンとして動くにはいかんせん色んな部分で古すぎる。そうなると、D800購入が一番自然な道だろうが、私の仕事に3630万画素はデカ過ぎる。ちょうどいい感じの2430万画素のD600はただフルサイズってだけで、プロの道具ではないだろう。もちろんD4って選択肢もあるが、今のところ興味はない。
以前の銀塩時代の私なら、間違いなくフラッグシップのD4か1DXって感じであった。しかし、いまはそういう時代ではなくなってしまった。
そんなこんなで、年末から悩んでいたのだが、ある写真館の仕事をする方向で進みかけていたところ、キヤノンで撮る方があらゆる面でメリットがあることに気付き、目からウロコ状態であったのだ。
そうなると、自然にターゲットになるのは5D Mark3である。D300で不満だったAF精度も問題ないようだし、高感度性能も言うことなしである。レンズ資産の問題は置いといて、すべての面で5DMk3が最適であるとの結論に達したのである。
結局、その写真館とは縁がなかったが、いい気付きをいただいた。
キヤノンなら、私の代名詞とも言える改造TS−E45mmも使えるし、操作の面でもEOS−1シリーズを使い続けていたので、すぐに慣れるから問題なしということで、迷うことなく決定したのである。
本格的に3月からモノブロック2灯の撮影を中心とした仕事を行っているが、縦位置グリップを付けた5DMk3での撮影はすこぶる快調である。
もちろん女の子を撮る仕事であるから、勝手知ったる世界で慣れた撮影だ。屋外ロケが好きな私が、屋内でモノブロックを使った撮影をしているのは意外だろうが、仕事だから好き嫌いなんて言ってられないってのが本音である。ブツ撮りや風景を撮らされることを考えれば、とっても幸せなことなのだ。
一日、3ヶ所以上の現場で撮ることも珍しくないし、帰宅が深夜になっても少しも苦にならない。これまでのストレス溜まりまくりのサラリーマン時代に比べれば、好きなことが職業ってとってもいいもんだ。
ストレスと言えば、デジタルで撮れることが、どれだけ気分的に楽にさせてくれるか。ポジで撮っていた時代では考えられないほど、失敗を恐れなくていいのだから。
ただ、撮影が楽になった分、大変なのが納品までのレタッチ作業である。
最初の撮影分をTIFFで作成し納品した時は、すべてにNGを食らってしまった。二日半徹してレタッチし直しする羽目になったが、久しぶりにPCの前で頑張ってしまった。しかし、まったく疲れないのだから不思議なものである。SEをしていた頃では考えられない、心地よさがあったのである。
朝の5時に寝て、すぐ仕事に行くのが、苦にならないのだから、20歳ほど若返った気分である。
銀塩時代は、基本的にポジに忠実な画像データを作成することを信条にしていた私であるが、逆に言えば、ロクにPhotoshopを使いこなせていなかったということである。
撮影した「モデルさんは商品である」ということを前提に仕上げて欲しいと言われたわけだ。至急ポートレートのレタッチ教本を買い集めて、オフの日にPhotoshopと格闘すること数日。これまで、避けてきたり知らなかった機能やツール、フィルター、レイヤー、マスクなどをほぼマスターできたが、その勉強過程も楽しいのだから不思議なものである。
同じスキルアップするために、ディスプレイとキーボードに向かっていても、私が会社員時代に携わってきた、ホスト系事務処理システムの開発では味わったことが無かった感覚であった。やはり、人には向き不向きってのがあるんだな。
さて、5DMk3だが、AFの精度は半信半疑だったが本当に素晴らしい。最近のニコンの同ランクであるD800は使ったことが無いので、何とも言えないがD300とは雲泥の差と言える。キヤノンでも、銀塩時代はEOS−1系でも、辛い部分があったが、技術は確実に進んでいるということ。
ただ、残念なのがファインダースクリーンである。TS−E45(改)でのMFがかなり厳しいのである。特に屋内での撮影だと尚更である。そんな時は迷わずフォーカスエイドに頼ることにしている。モデル撮影でモタモタするのは厳禁だから。
それから、技術革新の賜物といえるのが、高感度撮影にめっぽう強いことだ。これだけは、銀塩時代では夢のような世界が広がる。
今日のサンプル画像は、やむを得ずトリミングしたが、シフト機能を使って撮ったものだ。元々スタイルのいいモデルさんだったが、さらに脚長効果が出ている。逆にフィギュアスケートの鈴木明子選手のように、胴長短足のモデルの時には必需品かもしれない。だったら、広角レンズを使えばいいじゃないかと思う方も多いでしょうが、フレームいっぱいにフルショットを撮ることはできませんよね。