恐るべしEF135mmF2L USM


4/5の関東撮影会でメイン・レンズとして使おうと思い、奮発してレンズを1本買い足した。

それは、以前から少し気になっていた、EF135mmF2L USMである。このレンズは
'96年4月の発売であるから、EFレンズ群のなかでもISレンズを除けば最新の設計とい
うことになる。EF180mmF3.5LマクロUSMと同時期に発売となったLレンズである。
もともと、この焦点距離ではソフト・フォーカス機能のついたレンズはあったがLレンズでは
なくて基本性能としても特筆すべきものはなく購買意欲をかきたてられることはまったくなか
った。

さらに、私がポートレートを撮る場合に135mmというのは中途半端でもあり、その焦点
距離はEF70−200mmF2.8L USMでカバーできるので必要ないと考えていた。
しかし、その考えが変わったのである。
それは、先月20日に発売されたCAPAの記事を読んでからである。CAPAはどちらか
と言えば初心者向きの雑誌で巻頭で特集されている撮影技術の特集も特に目新しいものはない
が、安いし気楽に読めるので毎月買っているのであるが、その中に各社の単レンズを使って、
サンダー平山氏の独特なインプレと、写真(当然のことであるがおねーちゃん)が載っていた。

その特集のタイトルとしては「逆光が冴える! ポートレートレンズ活用法」であり、はっきり
言ってこの特集しか読んでいないし、見ていない。
そこにはCanon、MINOLTA、PENTAXと各メーカーの主力レンズが登場し、気合
の入ったサンダーの写真と解説があった。解像度のデータや数字を並べるのではなく、サンダー
がおねーちゃんを撮ってみてどうなのかが書いてあるわけで、決して数字やMTF特性では語れ
ない部分である。

EOSユーザーである私は当然Canon代表として取り上げられていたEF135mm
F2L USMに注目するわけだが、そこには今一番サンダーが気に入っているレンズである
と書かれていたのである。俄然その後を読むのに力が入って来た!
なになに・・ かなり明るめに写してもピントが崩れることが無い・・・驚異的・・・
露出オーバーに断然強い・・・ アンダーではコクのある独特な味・・・・
コーティングがいい・・・ ふむふむ・・・ 2枚の写真をジックリ穴が空くほど見る・・・
確かに、いい!
また、逆光で明るめで撮るのは、私の撮影スタイルそのものであるから、このレンズを使わない
手はない!!と結論が出るのに5分とかからなかった。

しかし、しかしである、大きな問題があるのだ。¥128,000という値段である。実売価格
は消費税込みで10万ほどである。つい先日楽をしようと思ってTAMRON SP AF
28−105mmF2.8LDを購入したばかりであった。それは定価¥130,000で9万
ほどで買ったのである。
話を戻して¥128,000というのは同じCanonの135mmではソフトフォーカス
F2.8の¥50,300の2.5倍に相当する。ひと絞り分と、UDガラス2枚の値段なの
であろうが、私のメイン・ボディーであるEOS−1N RSでは2/3段分のロスがあるの
で、F2というのは凄く魅力的なわけで、ひと絞り絞り込んでもf2.8で撮れるのである
から購入計画は着々とすすんだのである。

さて、昨日は4/5に撮ったポジが現像から戻ってきたわけだが、実際に135mmで撮っ
たのは20本のうち12,3本になるだろうか。
昨夜はその一枚一枚をチェックしたのだが、結果からいうと最高!であった。
私は、サンダーの撮った写真よりさらにハイキーで撮ったのだがピントはもちろんのこと、
ヌケ、キレ共にまったく破綻することなく再現されていた。また、逆光にも強いことが分か
った。
ファインダーを覗いた時に感じてはいたのだが、現像された結果を見て予想以上の結果に驚
いている。
また、今回の撮影はサンダーの撮った写真と、よく似たライティングで撮る事ができ、結果
を確認するのにも好都合であった。

EF70−200F2.8L USMのズーム域に含まれているからと思っていたが、そんな
レベルではやっぱりなかった。確かにこの望遠ズームは同じクラスのレンズの中では最高の
パフォーマンスを誇るのであるが、135mm域に限ってはその道のスペシャリストに道を
譲らざるを得ない結果となった。

この日同時に使ったTAMRON SP AF28−105mmF2.8LDだが、Canon
のLレンズ軍団には足元にも及ばない結果であった。
逆光ではフレアーが強くでるしシャープさもイマイチであり、EF135mmで撮った写真の
後では見る気が起こらないほどであった。やはり、便利なだけのレンズであったようだ。
28−105mmで開放F値が2.8はこのレンズだけではあるが、TAMRONとしては、
メーカーの性格上これ以上の価格設定をする訳にもいかず、かなりの妥協があったのだろう。
こんな状態ではEF50mmF1.4 USM一本+フットワークで通した方がいいように思
えた。

元来、望遠派の私としては、EF85mmF1.2L USMより、こっちの方が気に入って
しまったわけで、AFのフィーリングもずっといいし、10年近く前のレンズと比較すると
いろんな面でよくなっていると思う。EF85mmF1.2L USMは開放でアップを撮る
のは超浅い被写界深度で面白い表現ができるが、実際にシャープな写真を撮るにははf2.8
くらいまで絞り込む必要があるので、同じf2.8にするのならEF135mmF2L USM
の方がかなりのアップも狙えるし、ホールディングもしやすくマニュアル・フォーカスのタッチ
も格段によくなっているので、私にとってはベストの単玉になったのです。

ただ、ひとつ問題なのは、ポジをライトボックスの上でルーペを使って見ると最高の写りを
しているのであるが、COOLSCANUでスキャニングするとどうしてもハイキーに撮った
もののキレがかなり悪くなってしまうのだ。逆光でハイキーというのはレンズだけではなく、
スキャナーにとっても過酷な条件なのであった。

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