レンズと絞りの選択


今、少し悩んでいる。それは昨日写真集「RIONA」を見てふと思ったのだ。
それは、私は今までポートレートを主に撮ってきたが、その時の撮影スタイルとして大口径の望遠
系のレンズを限りなく開放に近い絞りで撮ってきた。そして美しく前後をぼかした表現でやってき
て、それでいいと思っていたのだ。
しかし、最近はNudeを撮る機会が増えたのであるが、その時も基本スタイルは変えることはせ
ずに撮っていたが、ポートレートと違い手前の目だけにピントがくるような表現方法ではいけない
のではなかろうか?

バックまではっきりと写る必要はないかもしれないが、せめて全身のショットの場合はもう少しピ
ントの奥行きがあるほうがいいのだと・・・・
そのためには、当然開放絞りで撮る必要はない。しかしf5.6まで絞り込んでも望遠レンズであ
ればボケは残るし、シャッター速度が遅くなるので手ブレの心配もある。
となると、50mmレンズ程度で撮るべきだろうか、EF135mmF2L USMの描写が気に
入っているだけに悩むところだ。135mmでf5.6まで絞った場合はf2.8の時よりも2段
シャッター速度が遅くなるので、手ブレ、被写体ブレの可能性が高くなる。広角レンズであれば、
それほど気にすることはないし、被写界深度が深いので絞り込む必要もなくなる。

実際、135mmレンズでf5.6にした場合にどの程度被写界深度が深くなるかは、数字で現わ
された資料を見るよりも、撮ってみて確認するのが一番であるので近いうちに実験してみるとしよ
う。
なぜ、私が望遠にこだわるかと言うと、広角レンズの場合に起こるデフォルメがなく均整のとれた
プロポーションに写せるからである。であるから、全身を撮りたいからと言って広角レンズに変え
るわけではない。レンズの選択基準としては撮影場所が狭い場合や他にも撮影者が大勢いる場合は
例外として、バックをどれだけ取り入れたフレーミングにするかによってそれにあった画角のレン
ズを選択するのである。

昔から、写真は50mmにはじまり50mmに終わると言われている。小学生の頃父親に譲り受け
たPENTAXにも当然のように50mmが付いていたので、私の写真の基礎は50mmがベース
になっているのである。
そのカメラを持って、モーターショウに行った時に飾られていた117クーペ(当時の高級スペシ
ャリティーカーでジュジアーロのデザインであり、コークボトル・ラインと言われた曲線の芸術品
のような手作りボディーで、GT−Rと同じくらい高かった)を撮ろうとカメラを構えたが全体が
入りきらずに苦労していた小学生の私に、いかにもカメラマン風のひげをたくわえたお兄さんが、
広角レンズを貸してくれた。多分28mmぐらいだったのだろうがすんなりと車体全部を収めるこ
とができたのである。その時初めてレンズを交換できるのか!と感動したのを覚えている。それに
できあがった、モノクロのプリントを見てもう一回驚いたのである。撮る時は必死だったので気に
とめていなかったが、斜め前から撮った117クーペは、一層なまめかしく身をくねらせるように
デフォルメされていたのである。当時はあのお兄さんはすごいレンズを持っていたんだ!って思っ
ていたのだ。

話が横道にそれてしまったが、EOSでシステムを組んでからかなりになるが、恥ずかしいことに
50mmレンズを手に入れたのが去年であり、今までは標準ズームという便利なものがあるので、
それに甘えていたのである。
そして、最近はその50mmが気に入ってしまっているのである。こんな便利なレンズは無い!
カメラにレンズをひとつ付けてあちこち歩き回るなら、標準ズームよりも便利な点も多い。それは
開放F値がずば抜けて明るいことで、35mmなどになると、また暗くなってしまうのだ。
レンズの設計上50mmが一番抜けのよい焦点距離のようである。キヤノンにはF1.0という、
とてつもないレンズが存在したりする。しかし値段も¥366,000という超ド級であるが。
でも、¥49,000のF1.4で充分であり、それ以上明るくても被写界深度が薄くなるし、描
写もそれなりなのである。F1.0ではっきり、くっきり撮れるはずも無いが。
それでも、標準ズームがあるからいいや!って方には、もう一つお勧めのとっておきの50mmが
キヤノンには用意されていて、¥12,000のF1.8がある。それでも普及版の標準ズームよ
り、2絞り以上明るいのである。2絞りと簡単に言うが、60分の1秒で撮れものが15分の1秒
になってしまうのである。このレンズは実売価格¥9000台であるので一度騙されたと思って買
っても損はしないのではないかな?たった130gしかないのだから、ポケットに入れておいても
重宝するはずだ。
標準ズームの中の50mm域とは一味違う写真がとれることうけあいなのだ。

特にストロボの付いていないEOS−1系を持って街をぶらつくときに、いつも日の当たる場所だ
けとは限らず、どこかのお店の中でもノンストロボでの撮影が出来てしまうのである。
確かに、EF70−200mmF2.8L USMの白レンズをEOS−1N RSに付けて歩けば
すれ違う人が振りかえって見るほどの迫力があるが、スナップするには50mmF1.4 USM
の機動力は捨て難いものがある。


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