ボディーの選択その1


一眼レフの基本的なスタイルは一部の機種を除いて、「レンズが交換でき、さらにそのレンズを通
した被写体がファインダーで確認できる」ことであると思っている。
中には一眼レフとは言うものの、レンズが交換できない機種もあるが、それはコンパクト・カメラ
の発展系であって、一般に一眼レフと言われているカテゴリーには入れるべきではないと思ってい
る。レンズ交換が出来ないなんて・・・・考えただけでも「しょうもなぁ」なのだ。

さて、日本は有り難いことに35mm一眼レフのトップメーカーが集結しており、そのほとんどを
買うことができる。大昔はライカを買うか家を建てるかって言われていたそうな・・・ああ、なん
て恐ろしい。確かにライカはカメラとしては歴史があってすばらしいとは思うが、同じドイツの製
品でもベンツと比較できるとは到底思わない。私は以前、領事館の払い下げのポンコツ・ベンツを
買い取って、チューニングした経験があるので、ベンツについてはちょっとうるさいのである。
ベンツは歴史だけのメーカーではなく、F1でもル・マンでも本気で参戦すれば世界中のメーカー
で太刀打ちできる所はない。トヨタやニッサンが何年かかって追いついたつもりでも、ベンツはさ
らにずーっと先を行っているのである。実際にシャーシやエンジンを見て分かったことだが基本的
な作りが国産車とは次元が違うと言わせてもらおう。また、今の国産車によく装備されている機能
でABS(車輪がロックしないブレーキ)だが、あれは元々BOSCHの開発したものでBOSCH
といえばベンツの子会社みたいなものだから、ベンツのそれぞれの車種に合わせて設計されていた
のである。日本のメーカーはそれを丸ごと流用していたのだから、たいしたモノができるわけもな
い。話がクルマのことに大きくそれてしまった。この手の話題にも目が無いのである。

それに比べ、ライカを崇拝するマニアはいるようだが、そんな輩が相場を釣り上げているだけで、
実際にプロが現場で使っていい仕事をしているのだろうか・・・ ハッセルなどはいい仕事をして
いるが、ライカはマニアの自己満足としか私には思えないのである。
同じレンズを使ったとして、ライカがニコンやキヤノンより優位に立っている所などあるのであろ
うか?
私の認識不足であったのなら、大変失礼なことを書いているのかもしれない。
しかし、ライカ使いになるのが夢であるとか、操作することに喜びを感じるなんて言うのは、この
際ナシにしてもらいたい。実際にライカのボディーはこんな写真を撮るときにアドバンテージがあ
る。ってことでの話である。
元来、メカ好きの私もライカを使いこなしてみたいとは思っているのだ。しかしそんな世界に足を
踏み込んでしまい、本当に大事な物を買えなくなるのが恐いのである。

今日書きたかったのは、そんなことでは無く、各メーカーには何種類かのボディーが用意されてい
て、多分安いものほどシェアが広く、それが広いので更に安くなり高性能になるという好循環とな
っているようである。これは実に有り難いことである。
初心者の方でも、いきなり何も考えずにフル・オートで撮ればしっかり撮れてしまうのであるから、
いやになって投げ出すことが無くなってきている。昔はそうはいかなかった。
たとえば、ベストセラーを続けているEOS kissはコンパクト・カメラ並みの値段でありなが
ら素晴らしい機能を持ち、軽量コンパクトときている。これで売れないわけが無いのである。

事実、最近のカメラ・ブームでカメラ店に行き、いきなりEOS−1NやF5をショーウインドウ
から出させてシャッターを切りまくる人はまず、いないであろう。
当然であるEOS kissの5倍以上の値段なのであるから。

そして、悩んだ挙げ句多くの人はkissを買い、ちょっとフンパツして55を買って帰るのであ
る。その時にI−Nを触ってみる人もいるだろうが、コンパクト・カメラを持ちなれた手には重い
だけのカメラに感じたかもしれない。

私も最初はEOS5の発売日がEOSとの付き合いの最初であるが、その時にEOS−1など眼中
になく、5点測距と視線入力に興味が注がれていた。しかし、EOS5を持って撮影をしていたの
であるが、撮影会で見かける人たちの手にはEOS−1が握られており、けたたましいシャッター
音を轟かしていたのである。一方最新モデルのEOS5はキヤノン自慢のサイレント仕様であり、
コポンッと何とも情けない音がしていたのである。音が小さいのはいいことではあると思うが、そ
れがポートレート撮影となれば、特に自慢する機能でもなく逆にシャッター音でリズミカルに撮る
という感覚ではない。
そんなことからEOS−1が気になる存在になりだしたわけで、さっそく中古のEOS−1 HSを
探すことになった。店頭でさっそくシャッターを切ってみると(これがEOS−1の初試射)これがま
た切れ味がいい包丁に持ち替えたような気持ちよさにシビレてしまったのだ。
さっそくその場でEOS5を下取りに出したのは言うまでもない。まだEOS5の人気絶頂の頃で
あり、高く買ってもらったのを覚えている。

その後サブ機として名機の誉れ高いEOS630を購入したが、結局出動するのはEOS−1なの
である。やはり、スポット測光のない630を使う気にはなれなかった。185cm 88kgの
私にとって多少の重量差など全く関係なかったし、大口径レンズと組み合わせるのに軽い張りぼて
のボディーはバランスが悪くEOS−1の方がホールディングもしやすかった。
その後は、EOS−1系一筋と言うわけである。

結局最高のボディーがあるのに、それを置いて軽いからという理由だけで格下のボディーを使うの
には抵抗があるだ。
それが、買い物に行くのにフェラーリを置いてカローラで行くのとはわけが違う。

また、同じEOSでも露出の味付けが違うので、結局EOS−1系で揃えてしまうのが一番いいの
である。ただそんなことをすればお金がいくらあっても足りないのだが。

なぜ、EOS−1系とその他の機種では値段にあれほどの違いがあるのだろうか・・・
内臓ストロボも付いていないし、視線入力もできないのに不思議に思う人も多いのは確かだ。
シビックとNSXの値段が違うのは誰でも理解できるのだが・・・・

台数が売れないので、コストダウンが出来ないというのはEOS−1NもNSXも同じである。
EOS−1Nでは見えない所で、しかもコスト的に高くつく所にお金がかかっているのであるが、
それのどこが撮影に役立つかと言われても、それほど大きなアドバンテージがあるわけでもない。

で、実際どこがちがうのであろうか、いくつか挙げてみることにする。
−ボディーの耐衝撃性と耐水性
−カーボン&超ジュラルミン製のシャッターユニット
−視野率100%のファインダー
−精度の高いスポット測光
−フィルム巻き上げとシャッタ制御別の2モーターシステム(RSは3モーター)
などと、コストがかかる機能が満載されているのであるが、実際にユーザーにとってどれだけ価値
があるかは、使い方しだいであろう。
私は一日20本の撮影をかなりしているが、やはり安心感は普及機の比ではないと思っている。
確かに、普及機にサンニッパを付けると、グニャッとボディーが歪むのが分かるのである。

結局、いいものを一度使うと、後戻りは出来ないのである。次期EOS5が発表されたら買ってし
まいそうであるが、その機能を増幅した次期EOS−1が出るまでの繋ぎになってしまうのは目に
見えているのだが、なんとも恐ろしい世界に足を踏み入れてしまったものだ。


<−戻る