あぁ恐ろしや大撮影会


大スポンサーがついた大きな撮影会に行くと、ものすごい数の人が集まるのである。
それだけ人が集まると、何かトラブルが起こるのであるが、今まで私が目にしたトラブルをいくつ
か紹介することにする。

軽いものからはじめると、多いのが忘れ物であるが大体それは取るに足らないものが多い。
大体主催者側から放送で呼びかけてくれるのであるが、レンズ・キャップ、カメラ・ケースの類と
帽子、ジャンパーなどの衣類が多い。それといって貴重品とも思えない物である。
表面的にはそうであるが、忘れ物といってもつい置き忘れた場合に、それがカメラやレンズ、スト
ロボなどの高価なものである場合は、拾ったひとのバックへ直行してしまうのではないか。
よく、真っ青な顔で探している人を見かける。

悪質といえば、EOS−1Nが発売されて間もない頃、一脚にEF70−200F2。8L USM
をつけ、それにEOS−1N HSを取り付けて撮影していたある人が、広角レンズを付けたカメラ
に換えて撮っていたが、気がつけば傍らに置いてあった一脚から、ボディーが消えていた。
その人が金持ち風のおじさんなら、それほどでもないが、まだ20代でかなり無理して買ったので
はないかと思う人だっただけに、可哀相で仕方なかった。もう二度とそのEOSは彼の元に戻って
くることはないであろう。¥265,000というとんでもない授業料を払わされたのである。考
えようによっては¥198,000の白レンズが残ったのが不幸中の幸いってやつか。

見ず知らずのひとが溢れる撮影会で、視界の外に高価な器材を放置して撮影するのは、非常に危険
なことである。おそらく、その人は仲間内での撮影会しか経験なかったのではないか。
大きな撮影会には、写真を撮るのが目的ではなく、置き引きだけに焦点を合わせて空のバックを抱
えて参加しているヤツらがいるようだ。

その事故をみてからは、私もさらに注意するようにしている。バックを常に足で挟むようにして撮
っているのである。回りの人たちはみんな撮影に夢中でファインダーに集中しているわけだから、
誰にも気づかれることなく、犯罪が遂行されるのである。

だから、最近の私の撮影スタイルは、大き目のウエストバックに、その日使うレンズをすべていれ
ていて、バックの中には高価なものは残さないようにしている。実は手作りのフィルターなど大事
な物が入ってはいるが、とにかく目立つのは危ないのだ。

ヤツらにとっては、盗って下さいと言わんばかりに機材を放置している方も悪いのだといいそうで
るが、事実魔が差すってことがあれば、まさにあんな状況ではないか。

それから、面白い人もいて、大きなバックをキャスターのついたキャリヤに積んできて更に首から
2台カメラを下げているのだ。
それに、彼の持っている機材が凄すぎる。Nikon F4とEOS1−Nを首から下げ、バック
の中にはCONTAX RTSVとツァイス・レンズ群・・・
その中には200万もする300mmF2.8があった!! こんなレンズ初めて見た。
それを見た瞬間、私は思わず「オ・タ・ク・だ・・・」とつぶやいてしまった。
でも、11月だというのに超短い薄い綿パンに、黒いナイロンの靴下とかかとの磨り減った革靴で
伸び切ったトレーナーなのだ。テレ・テッサー売ってもうちーっとこぎれいにしたらって言ってや
りたかった。
でも、今ごろF5買ってんだろうなぁ。それにしてもセルシオ1台持ち歩いてるみたいなもんだ。
せいぜい、盗られないように見張っといてよ。写真撮るのもほどほどに・・・!

あと、白レンズには黒の、ボディーには白の油性マジックでデカデカと漢字で名前を書いてる人も
いた。それって最高の防衛方法だとつくづく感心するとともに、「あなたは大物になるよ」って思
った。

話が人間ウォッチングになってきたが、本当に面白いというか首をひねりたくなる人が多いこと!
常に、誰かに話し掛けてる人。黒い革手袋で決めてる人(きっと、ボーリング行ってもプロテクタ
ーしてんだろうなぁ)。被写体の反対側でボーッとしてて、いつも怒鳴られている人。モデルが座
りポーズになるといつも足元でカメラ構えて、モデルに睨まれてる人。レフ係に文句ばっかり言っ
て一人でイラついてる人。レンズをグシャっと地面に落とす人。モデルの名前を間違って声かけて
いる人。すぐ回りの人に喧嘩を売る人。脚立から落ちてる人。達者な英会話で外人モデルに話し掛
けている人。聞かれもいないのに教えたがりやの人(あなたうるさがられてるよ)。モデルに見と
れてる彼氏に背後から目隠しをしてる一般のアベック。
モデルを撮らずに立木先生を撮ってる私(渋くてカッコいいんだから仕方ないわさ)

世の中いろんな人がいるもんだ。


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