AF機のここが困った!


ここ10年ほどはAF機の独壇場であり、高度なプログラムAEとの組み合わせで一眼レフが一気
にお気軽カメラへとなった。
その、お気軽カメラというイメージでどんどん浸透している。

しかし、そのお気軽が困ったことになるのである。それは、安い予算で一眼レフのシステムを組む
にはどうしてもF値の暗いズームとのセットになるわけで、圧倒的多数の方々がそれで満足されて
いる。それはそれで素晴らしいことだと思っている。運動会の写真を撮るのに70−300mmの
F5.6のレンズにISO400のネガを入れれば、コンパクト・カメラでは絶対に撮れない写真
が撮れる。

標準ズームと望遠ズームを付けて10万円を大きく下回る、お気軽セットから入門するのが自然で
ある。そこで写真に目覚め、はまり出すとケタがひとつ違うってことになってしまうが、そんなケ
ースはゴクまれなのである。

さて、こんな背景を前提に今日の本題に入るとするか。
標準ズームという名前が定着して久しいが、AF機が登場するまでは50mmの大口径レンズが標
準とされていたのである。開放F値が1.4とか1.8とかで明るいレンズであった。
それが、どうしたと思われるかも知れないが。
この開放F値が暗いズームレンズで撮ることが前提になると、ボディー側に影響するのである。
それは、以前のままのファインダーでは暗くなってしまうので、それを補うためにフォカシング・
スクリーンが素通しに近いものとなってしまったのである。

その点MF機はザラザラしたマット面なので、ピントの山がはっきりと分かるのである。
だから、MF機でマニュアルフォーカスに慣れている人はAF機のメリハリのないファインダーで
はマニュアルでのピント合わせのし難さに閉口することであろう。
最近のAFはすさまじい進化をしているので、ほぼ100%AFで対応できるはずである。

しかし、大きな問題が残っているのだ。
暗いズームレンズをお手軽セットで発売してしまったので、それの対策として安易に明るいスクリ
ーンを使うことによって逃げているのである。
サラッとした明るいだけのフォーカシング・スクリーンでピントの合っている、いないの判断が困
難になったのであるが、言い換えれば、はっきり見えるとボケているの差が確認しにくいと言える
のである。
開放付近でのボケを再現する能力が退化してなくなってしまったのだ。(あぁ嘆かわしい・・・)

私のように大口径レンズの開放付近を常用としている場合には、とんでもなく困ってしまうのであ
る。具体的に説明すると、ファインダーで被写体を捕らえ(当然おねーちゃん)ピントを合わし、
その前後のボケにあたる部分を確認して撮影するのだが、出来上がった写真は撮る時に確認したは
ずのボケとは比べ物にならないほど、大きくボケているのである。
特に前ボケを入れる時はそのボケの大きさと位置を確認して主役とのバランスを取り、隠し味程度
にするのであるが、結果は主役の座を脅かさんばかりに主張している時がある。
また、ピントがある程度来ていると思っていた部分が、とんでもなくボケていたりもする。

とにかく、多いに困るのである。一眼レフはレンズを通した被写体がそのままファインダーで見え
るのが一番の特徴なのだが、ウソの情報を見せられているのである。
それは、メーカーの怠慢と言うかユーザーを甘く見ているとしか考えられない。あれだけの電子技
術を開発する能力があるのに、もっとましなフォーカシング・スクリーンが作れないはずがないの
である。

しかし、言っておくが、このようなトラブルが発生するのはF2.8より明るいレンズでのことで
あって、それ以下の暗いレンズでは問題ない。

自分のカメラがどうなのか確認する方法だが、それは最近読んだ本に書いてあったので紹介する。
まず大口径レンズを付けて開放(例えばF1.4)にして、点光源をアウトフォーカスで見る。
すると、ジワーッと丸くボケているはずである。そこで絞りを少し絞ってプレビュー・ボタンを押
す。常識では丸いボケは小さくなるなだが、変化しない場合はそのF1.4のボケを確認すること
がそのカメラでは出来ないということである。実際はもっとボケているのだ。この手順でどんどん
絞り込んで行き、どこまで絞ればボケが小さくなるかでチェックできるのである。
このチェックでボケの大きさが変化しなかったF値については撮影時に要注意と言える。

EOS−1Nのようなフラッグ・シップ機は大口径レンズと組み合わせるケースがほとんどだと思
うが、あと1万円払ってもいいから、せめて自分の会社で作っているレンズの性能をカバーできる
だけのスクリーンは用意して頂きたものである。


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