構図あれこれ


まずファインダーを覗く、これが撮影の第一歩だがモデルを配する前にレンズをセットしたカメラ
のファインダーでバックの様子を確認したいものだ。私も出来るだけそれを心がけてはいるが、つ
い邪魔臭くなってしまう。肉眼で見て完全に仕上がりがイメージできるほど私の目は、使用するレ
ンズになりきることはまだ出来ない。

そして、輝く木の葉のボケ具合やバックの奥行き感を確認し、どこにモデルを置けばいいのか、ま
たは立ちポーズがいいのか座りポーズがいいのかをレンズ越しに確認するのがベストであると思っ
ている。足場の悪い所であっちでもない、こっちでもないとモデルのオンナの子をうろうろさせる
のは罪なことであり、またこれからの季節やぶ蚊の餌食にでもなったら、その後の撮影にも響いて
くる。

そこで、実際にモデルを入れた状態で構図を整えるのであるが、昔から言われているように『角生
え写真』と『首切り』写真はできるだけ避けるようにしている。ある有名なプロの先生と話した時
に「ちょっとした壁の筋でも頭のてっぺんからはずせ」と言われたのがなぜか頭から離れなくなっ
てしまった。それでも、あまり気にしすぎないように自分で言い聞かせてはいるが。
それから、うっそうとした黒い木の幹や枝が真後ろに来ないようにもしている。気にしなければ、
気づかないようなことも、見る人によっては減点の対象になるようだ。
また、背後に垂直の壁や窓枠なんかがあれば、シャッターを押す前に斜めになっていないかの確認
をしたいところだ。誰でも左右どちらかが下がる癖を持っているものだ。本人は気がつかない場合
が多いが、第三者には気になって仕方がないことが多いのだ。第一写真に安定感が無くなる。
動きを出したいのなら、中途半端でなく思い切った構図にしたい。

写真が仕上がってから、気がつくミスとして暗いバックにモデルの美しい髪が溶け込んでしまう場
合がある。それは肉眼では絶対に気がつかないことである。ラチチュードまで肉眼では確認できな
いのである。最近のオンナの子は茶髪が多いが、また徐々に黒髪の時代に戻りつつあるようだから、
闇夜のカラス状態にならないようにしたい。
そんな状態は大体逆光でバックが暗く落ち込んだ場合によく起こるのであるが、モデルにちょっと
動いてもらい背後から髪に光が当たるようにすれば、ラインライトでくっきりと浮かび上がって見
えるのである。このラインライトってやつはあると、無いとでは雲泥の差、月とスッポンであるか
ら、是非確認していただきたい。別にバックが暗くなければならないということでもないので、逆
光の時はフレアに注意しながらもこのラインライトが輝く光を探したいものだ。

おっと、いつのまにか構図の話題から、ライティングの話題に変わっている… いつものこっちゃ!
よく、「奥行きを感じさせるバック」って表現が使われるケースがあるが、そんなバックの時は、
それに合わせた構図ってものがあるはずで、バックを活かすも、殺すもフレーミングした時に何を
何処に、どう配置するかで決まってくる。その辺は一定の法則があるが、感性の問題でもあって、
風景画の画集はなかなか参考になるので、おススメだ。法則を覚えるより、イメージを頭に焼き付
ける方が私には向いているようだ。

では、余談になるが貴方はどのタイプか診断してみよう。
まず両手の手のひらを合わせて、そこから手を組んだ時、貴方はどちらの親指が上になっているで
しょうか?または、どっちが上の時がしっくりいきますか?これは利き手とは関係ない。
私のように左手の親指が上の人は『右脳人間』で、右手の親指が上の人は『左脳人間』と言われて
いる。
ちょうど、上になった指と逆の脳がメイン・ブレーンということだ。

『右脳人間』の人は、法則を覚えるよりイメージを焼き付けるべきで、感覚を重視した方がいい。
逆に『左脳人間』の人は、勤勉な日本人らしく頭で整理して法則を叩き込むタイプである。私は
それが苦手である。
これについては、私の回りでやってみたがかなりの確立で当たっているようだ。

ここで、ちょっと手を握り締めたまま動揺している方もおられるかもしれないが、構図の話に戻す
が、私のような右脳人間はこんな説明だと簡単にイメージが湧くのだが、どうだろう。

田舎道を、腰の曲がった老人が歩いている、それをちょっと引き気味で狙うとしたら、どんな構図
になるか。
この老人の位置が重要になると思う。普通は目線の先を広く開けるのが定石だが、ここではあえて
老人の後ろに道がずっと続いているような感じの構図にしたい。その為には対角線に道を合わせた
い。その方がずっと続くように見えるようだ。「この老人は長い人生を歩んできて近々終焉の時を
迎える」ってイメージかな。西日が斜めから射して長く影を落としていたりしたら、もっといい。
当然露出は切りつめておきたいところだ。

今度は逆に若い世代であるが、子供やモデルに向こうから駆けてきてもらうケースでは、どうなる
か。
老人のパターンが理解できた人は、簡単である。これは真っ正面から縦構図で狙いたいところだ。
そして、子供の前を大きく開けてやりたい。当然、手前はボケているはずである。露出はちょい明
るめがいい。これで「何が起こるか分からないが、明るい未来に向けて希望を胸に・・・」ってこ
とになる。

こんな、イメージは説明されて改めて気がつくものだが、人間は写真を見て心では感じているもの
であると信じているが、どうだろうか。


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