携帯カメラにこだわる


私は、出来るだけカメラを身の回りに置いておきたいのである。いつどんなハプニングが目の前で
起るかも知れないし。こんな時にカメラがあればなぁ。って思うことが良くある。
と言う訳で、常日頃愛機のEOS−1N RSを持ち歩くわけにも行かない。あのボディーを持って
しまうと交換レンズまで持っていきたくなり、大きな荷物になってしまうのである。

だからと言って、EOS kissでも買って、日頃のお供をさせようとは、これっぽっちも思わ
ないのだ。一眼レフを持ち歩くのなら、RSを使いたいのである。元来軽量で小さいkissにマ
ッチするようなレンズを私は一本も持ち合わしてしない。そこでお手軽標準ズームの一本でも買え
ばいいのだろうが、そんな気は起きない。

私は暗いレンズは大嫌いなのである。kiss用とセットで買ってもいいのは唯一本だけだ。
50mmF1.8Uである。実売価格は1万円を下回り、軽さはたったの130g。それでもれっ
きとした大口径レンズであり、写りも合格なのである。kissが370gであるから、ぴったり
500gとなる。電池とフィルムの重さをプラスしても、600g以下である。一方RSは単三電
池を8本入れるとボディーだけでkissより1kg以上重い。でも、kissは私には軽すぎて
しっくり来ないのである。

そこで、私は方向転換を考えたのである。お供のカメラは一眼レフにこだわる必要無し。
で、最初に手に入れたのが、ブランドイメージもあり、CONTAX G1とビオゴン28mmで
ある。このカメラはポートレート撮影でも、広角域はこれを使ったり、モデルに小道具として持た
せたりで、しばらく活躍したのだが、結局大きさが中途半端なので自然に使う機会が減ってきた。

次に食指が動いたのは高級コンパクトの最右翼である、MINOLTA TC−1だ。
\148,000という価格もあるが、コンパクト中では一番見栄を張れるカメラではある。世界最小とい
ううたい文句につられて、お供させるにはこれっきゃないと、手に入れたのであるが・・・ 私の
手には小さすぎたのである・・・撮る時にRSを使うより気を遣わせるのだ。指の置き場に困るほ
ど小さく使い辛いったらありゃしない。タバコのパッケージのように四角くてスルッと手から滑り
落ちてしまいそうだし、ボディーにメリハリがないので、指がレンズの画角やストロボを覆うこと
がないかと心配でもある。
それと、作りが高級すぎた。チタン・ボディーに皮が張ってあるのだが、無造作に鞄やポケットに
ほりこんでおけないのだ。それとレンズのカバーがふにゃふにゃで心配で仕方がない。
私は、気に入らなくなると使わないたちなので、傷でもつけたら他のに買い換える時に下取りが安
くなってしまう・・・ なんて思うと余計に高級皮ケースの中でお眠り頂いていたのである。
お供に気を遣うほど馬鹿らしいことはないのだ。開放絞りがf3.5というのも今となれば気に入
らない。円形絞りより明るさが欲しいのだ。

さてと・・・ 次は何にするべ・・・ 私が狙いをつけたのは、ブランドイメージも見栄も張れない
ないが、何故か気になっていた、RICOHのGR1sである。このカメラ、TC−1を買う時も
異常にプロの間で評判が高かったのを覚えている。
レンズの性能は前の二台に決して負けてはいない。ボディーもチタンではなく、安っぽいマグネシ
ウムであるがそこがいいのだ。ガサツな私にはその方がいい。スルスルのチタンよりガサガサ感が
実用的である。買えない者の遠吠えではないぞ、使ったものの実体験である。
それと、大きさが使いやすいのだ、全体的に薄くて幅が広いので持ちやすく、フィルムの収まる部
分がぷっくりと膨らんでいるので、TC−1のようにうっかり落としてしまう恐怖感が無い。デザ
インは安い普及タイプと同じなのが、気に入らないようでそこが魅力でもある。
古い表現をするなら、「羊の皮をかぶった狼」であろうか。
GR1から、GR1sにマイナーチェンジを最近したのだが、レンズのコーティングがさらに良く
なっているようだ。また、専用の花形フードが付属しているので、これをつければ見栄も張れる。
値段は\95,000とちょい安めである・・・ いや、あの何処から見ても\20,000にしか見えないボデ
ィーからは想像を絶する価格であるとも言える。

購入したのは、ブラック・ボディーである、今までチタン地のシルバーだったので迷わず選んだ。
28mmF2.8のこのレンズが自慢であるが、どれくらい良いのか楽しみである。
買う時に、迷いに迷ったのが、CONTAXのTVSである。28−56mmのツァイスレンズの
便利プラス見栄に負けそうになってしまった。なんせファインダーがマイナーチェンジされる前の
モデルであるが、17万もしたのが10万を切っている・・・ だが携帯カメラを手に入れるとい
う本来の目的を思い出したのである。400g近い重量はどう考えてもバツである。危ない危ない。

今日さっそくGR1sで一発目の試写をしたが、それは携帯カメラとしての一番の活躍の場である
スナップである。大体高級コンパクトでの試写はリバーサルを入れて風景を撮るのだが、今回はス
ナップ撮影にもってこいの、チャンスがタイミング良く到来したのだ。
レンズ云々は関係ない世界かもしれないが、ここがコダワリというものだ。
日本橋で買物しながらバシャバシャ撮りまくったが、店内でプロストの付いたRSなんか使おうも
のなら、ガードマンに捕まってしまうのが落ちだが、GR1sなら微笑ましい写真好きのアンチャ
ンに見えるのである。これが私にとって携帯カメラのヨサなのだ。
このGR1sは黒い塗装がはげるほど、使いまくってやろうじゃないの。

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