本物のニコパチ写真を撮ろう


撮影会なんかに行くと、モデルはニコニコ笑っていることが多い。笑わずに静かな表情を作ってく
れたりもするが、どこからか「こっち向いて笑って!」なんて声がする。ったくやってらんない。
モデルには頼んで笑ってもらうものではないと思っている。ポーズは要求しても表情は出来るだけ
要求しないようにしたいものだ。

だってそうだろ 自然の中で花をバックに一人で笑いながら立ってる女の子がいたら、こいつ頭が
おかしいじゃない?って思わないか。
笑う時にはそれなりの訳があって、自然に笑みがこぼれてくるもんだろ?
だから、そんな気分にしてあげればいいんだけど、それを「笑って!」の一言で済ましちゃうのは
手抜きだと思ってしまう。

プロのモデルは作り笑いも見分けがつかないほど上手い。でも違うんですよね何かが。
キャハハッとか、ウフッて声が聞こえてくるような、感覚ってやっぱりあると思うんですよ。
楽しい所に連れて行ってて笑ってもらうだけなら、そう難しいことではないのかもしれません。
しかし、それを作品に仕上げるのは、ちょっとだけ難しいんですね。
モデルを決して一人にしちゃ駄目です。こっちも一緒に遊んでしまうことが一番大事だと思うんで
すが、こっちはカメラを構えててファインダー越しでしか、アイコンタクトできないし、それもモ
デルからこっちの目は見えていない。

遊んでもらおうと思えば、あや取りをするんじゃないから当然モデルは動き回る。こっちはそれを
追いながら撮るわけだが、じっとしてて撮るのに必死じゃモデルもしらけてくるし、楽しくない。
だから、こっちも一緒になって動く、当然海にだってバシャバシャ入る。ビデオじゃないからブレ
てはいけない。撮る時はビシッと撮る必要がある。
でも天気さえ良ければ、ISO100で充分である。出来るだけリバーサルで400は使いたくな
いのである。いざと言う時のためにRMSを5本常備しているが、出来るだけ使いたくない。
ネガと違ってリバーサルの高感度フィルムはどうもいかん。

私はGR1sでの完全なお遊びスナップ以外はすべてリバーサルで撮っている。だから、ネガとは
違い露出はシビアであるが、またそれだから面白い効果も狙える。
今回の須磨海岸の波打ち際でのショットを例にとると、波と戯れるまなちゃんはすべてプロビアの
ISO100である。砂浜にあがってからはベルビアを久々に使った。
動き回るまなちゃんを追いかけるのには実質感度ISO40のベルビアとEOS−1N RSのコ
ンビはちと辛い。

今回の露出はかなり気を使って決めている。でも海に入っているまなちゃんをほったらかして悩む
ようなことはしていない。多分まなちゃんも私が露出決定にこだわっていた事には気づいていない
ことでしょう。
海の雰囲気が伝わるギリギリまで思いっきりハイキーにしたカットは、まなちゃんのお気に入りだ
そうだ。この露出も現場のヒラメキで一発で決定したものだが、結果としては当たりであった。
このハイキーよりも気を使ったのが望遠でバックに海のキラキラを取り入れたカットだが、当然レ
フ係りなんていないのだから、顔とキラキラの露出差がかなりあり、キラキラが真っ白にすっ飛ん
でしまってはどうにもならないし、逆に表情が分からないほど暗くなってしまってもいけない。
露光の許容範囲が狭いリバーサルで撮った事のある方は分かると思うが、かなり厳しい条件である。
スポットメーターで何点か測って決めているが、これもまずまず合格。

ここではあえてこの露出決定のノウハウは書かない。それは一瞬で露出決定が自信を持って決めれ
るようにならないと、一緒に遊びながら撮る時に流れを止める要因になるからね。
これは自分で精進してちょーだい!そして自分の露出決定のスタイルを持つ事ですね。 ネガなん
か使ってても上手くなんないよ。たとえF5を使おうが、最新のEOS−3を奮発してもね。
露出はカメラが決めてくれるものだと勘違いのないように!自分で決めるんですよ自分でね。

この前の六甲アイランドでも遊び写真を撮ったが、単純にまなちゃんとデートを楽しんでると思っ
ている方もいるかもしれない。しかし、プライベートで撮るってことで始めてるし、出来た写真は
まなちゃんのモノでもあり、失敗は許されないというプレッシャーは常にある。
私はこう見えても気ぃー使いなのである。だから、第三者が介入するとすごく気になってしまうの
で、アシスタントは頼まない。空気のように存在感がなくてビシバシとレフを操ることができる人
がいれば別ですが。
確かに仕上がりについての“まなちゃーんチェック”は結構キビシイ・・・ コダワリのモデルだ
けに撮られっぱなしではない。それだけに次回撮影のプランを相談することもできるのだ。
まぁ、自信があるからこんな挑戦をするし、まなちゃんが信頼してくれていい顔してくれるから、
そんな余計なことを忘れてマジで遊んでしまう部分もあるんだけどね。

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