意見が一致しましたねぇが2度


最近面白い事があった。それは、10/12付けの撮影雑記の最後に、木村 晴カメラマンが撮影
の鈴木史華ちゃんの写真集『deep f』を買ってきたと事を書いた。タングステンフィルムを
使う者としては、気になるカメラマンと言うと、最後にこんなことを書いた。「それにしても、
この木村 晴カメラマンって私のアプローチに似てるなぁ。」


そして、その後しばらくして発売されたフォトテクニック誌に、いつものように木村氏のグラビア
ページがあり、その『deep f』からの写真が載っていたのである。
そこまでは、特に変わった事でもなく、最新の写真集を扱うのは当然と言えば当然である。

写真集の中の写真とまったく同じ写真が使われていたのかは、定かではないのだが。と言うのも、
今この写真集は、まなちゃんの部屋にあるのだ。17日の撮影の時に10冊ほど持って行ったまま
置いてきているので、今は確認できない。
まなちゃんは、研究熱心だから写真集を見る目も普通の女の子とは違うし、一緒に見ながら次回作
のプランを考えるのも面白いと思っている。まなちゃんがお気に入りだったのはRIKACOの写
真集で、「RIKACOいいよね!」ってお互いの意見も一致したのである。

それで、面白い事であるが、それはフォトテク誌に木村氏が書かれていた事なのである。こんなこ
とが書かれている。『女性を撮るには、テクニック以前にメンタルな部分がとても大切なんだ。
仕事の上の疑似恋愛ではあっても、その女性のキレイだな、愛らしいな、と思う表情や仕草を
見つけ出し、惚れ込んで撮らないと、上辺だけの写真になって、内面的な魅力に迫ることはで
きない。ポートレートは撮る側と撮られる側の共同作業だから、お互いの信頼関係やコミュニ
ケーションも大切だ。技術は後からついてくる。常に「美しく撮る」という気持ちを忘れない
で欲しい。』


これを読んだ時に、思わずニヤリとしてしまった。それは、私のアプローチに似ていると書いた通
り、この『deep f』を最初見終わった時に、感じたのである。
私がこの撮影雑記で書き続けていることと、まったく同じことを、木村氏が書いていたのが納得で
あり、驚きであった。
そんなことは、当たり前のことだと言われるかも知れないが、少なくともこの『deep f』を
見てそう感じた。しかし、それが伝わってこない写真集が多いことも確かである。

史華ちゃんの表情を見て木村氏がシャッターを押しているのだが、私がカメラを構えているような
錯覚を起こすほどだったのだ。私ごときがおこがましいが、本当にそう思ったのだから、アプロー
チが似ていると書いたのだ。
これほど、シャッター・タイミングに共感を覚えた写真集も珍しい。
この記事を読む3日前に、まなちゃんの部屋での撮影を終えたばかりであったし、その時のイメー
ジが私の中にかなり残っていたので、なおさらそう感じたのかもしれない。
また、そのような考えをベースとして撮っていれば、それが見ている側に伝わるということも、今
回は自ら気づかされたのである。
特に『素顔のままで』のシリーズはそれを第一に考えて撮っているのである。

BBSを見てくれている人は知っていると思うが、まなちゃんは今はロンドンにいるのである。
出発前に頑張ってスキャンして、140枚ほどの画像をメールで送ったのだが最終的には、200
枚程度になりそうである。
今日はやっと『素顔のままで』第四弾のPart1をアップするまでにこぎつけた。
今回も二回に分けてのアップになる予定で、Part1はナチュラルなメイクとヘアーであり、ベ
ットの上で、ごろごろしてるまなちゃんを追っている。力の抜けたいい表情も撮れていると、私は
見ている。今回は前半のPart1から後半のPart2にかけて、同じ日に同じまなちゃんの部
屋で撮ったとは思えないような変身振りに、撮った私も撮られたまなちゃんも驚いている。

さて、まなちゃんはロンドンとパリに行っているのだが、世間のバカOLどものような添乗員の後
ろをついて回る買い物ツアーではない。得意の英語で地図を片手にあちこちを見て回るようで、帰
ってきたら面白い話が聞けそうである。

話は戻って、今回は台風直撃であり、窓からの自然光はまったく使えない状態であった。
そこで、前半は窓のサッシに500Wのライトをつけて疑似的に日が射しこんでいる状況を創り上
げてみた、そして部屋の蛍光燈はすべて消し、窓方向からの明かりと、スタンドの赤みお帯びた光
だけでくつろいでいる感じが出せればと言うところである。

後半は、メイクとヘアーをブラック系に大きく変え、暗い部屋の雰囲気をそのまま使ってみたので
当然、セクシーな雰囲気の衣装になっているし、まなちゃんの表情もグッと力の入ったものになっ
ている。
後日談であるが、まなちゃんに言わせれば、あのブラックな感じのメイクはまなちゃんの中では、
パーフェクトではなかったらしく、それは肌の色が白いからだと言う。
ところがどっこい、私は目の前でメイクをし、くりくりスパイラルのウイッグを付けているまなち
ゃんに見とれていたわけではない。その間、ライトを片手にうろうろし、レフ位置を考え、タング
ステンのスタンドの位置と角度を考えていたのである。当然片目ではまなちゃんの仕上がり具合を
見ながら。

で、とにかく露出はギリギリまで切りつめて、直接デイライトの500Wを当てることは出来るだ
け控えることにし、当てても肌を明るく再現する事は避けようと決めた。
その結果、完全なブラック系の褐色の肌が出来上がったのである。基本的にオーバー目の露出で撮
ることが多かった私であるので、今回は多少賭けの部分があった。しかし、これだけまなちゃんが
気合いを入れてメイクしてくれているので、失敗は許されないのであるが、基本的にはスポット測
光で、要所要所で入射光式露出計を前後半共に使って確認している。
勝算ありの賭けではあったが、最初に仕上がったポジを曇り空に透かしてみた時には、「しまった
アンダーに振り過ぎたか!」と思ったが、ライトボックスでじっくり見れば、計算通りであった。
すべて入射光式で決めても良かったのだが、まなちゃんの流れを止めたくなかったので、極力使わ
ない事にした。当然、スポット測光の測る場所と、補正値の考え方は普段の撮影とは違うのである。

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