入門書に惑わされるな&第五弾報告


写真の技術的な入門書や解説書、それも写真関係の雑誌等で有名な出版社が出している書物は山の
ように存在する。
露出、構図、交換レンズの使い方、フィルムの使い分け、ライティング、フィルターワーク等々、
数え出したらきりがない、中にはプロカメラマンの機材を紹介しているものもある。

それらはすべて、技術論であってインサイドワークについてはあまり述べられていない。
だから、これらの書物をすべて買って来て、熟読し受験勉強のように頭に詰め込んで撮影会に参加
したら一等賞になれるか?と言えば、そんなことは絶対にないのである。
昔、鉄道マニアなどで旧国鉄の駅名をすべて丸暗記していたオ・タ・クがいたが、それと同じであ
る。案外プログラム・オートに普及版ズームレンズで挑んだ奴にMVPを持っていかれるのがオチ
である。

私に言わせれば、TVゲームでは無敵だが、実際にグランドに出ればキャッチボールさえろくに出
来ないような奴と同じに見える。
私はGIANTSの元木が好きである。それはプレー中の彼はものすごく魅力的に見えるからだ。
特に巨人ファンと言う訳ではないが、そう見えるのだ。
関西人特有の目立ちたがりが、プロ野球ニュースなどでも見受けられるがいいではないか。シーズ
ンを通した打率はそれほどでもないのだが、特点圏打率はダントツである。
それは、やはり駆け引きでありインサイドワークの上手さとセンスの良さだと思っている。
中日に入った韓国のロン毛の目立ちたがり屋ピッチャーのサムソン・リーの日本での初対戦打者が
元木で、見事にホームランを打ちよった。その後このカッコつけの投手はボロボロになってファー
ム行きになった。
「なめとったら、あかんでー、コラァ」って本木の声が聞こえてきそうである。あのシーンは実に
痛快であった。

とんだ話題になってしまったが、ポートレートとて同じこと。
いくら技術的理論を頭に叩き込んでいても、モデルを前にした時に如何にチャンスをモノに出来る
かが大事なことであって、このセンスのない者は撮影機材のセールスマンにでもなればいいのだ。
さぞかし、もっともらしい説明が上手いことでしょう。
また、センスともども、モデルの女の子に気持ちよくモデルをさせてあげるのも、カメラの構造に
詳しくなくてもできることなんですねぇ。

結局ハード面ばかりに気を取られるぐらいの中途半端な知識なら、止めちゃいなさいよ。ってこと
である。徐々に覚えていけばいいじゃないですか。
それより、ポートレートで一番大事なことは、そんなことじゃないってのに気づいて欲しいもんだ。

そういう記事を各写真誌で執筆されている、ある有名カメラマンの先生と一緒になった時に、「解
説書に書いてないことでもっと大事なことがあるんだけどね」と言っていたが、私はここでそれを
書いていきたいのである。
そんなこと書いても売れないのかもしれないが、ここに私が書いていることは売り物ではないので
何の気兼ねもないのである。

今日は、心配していた天気にも恵まれ、無事に犬島ロケに行ってきた。
事前に情報を仕入れていたとは言え、やはりロケハン無しは辛いものである。
行ってみて驚いたのだが、思った以上に精練工場跡が広く、それにも増してよくもまぁ、あれほど
複雑な建物を建てたものである。撮りたいポイントは見えているのに、行けないのだ。
まなちゃんは、崖っぷちから飛び降りるなんて馬鹿なことを言ったりして、お転婆振りを垣間見た
感じだ。ハイヒールを履いたまなちゃんは、頑張って歩き回ってくれたが切り立った石の角でスエ
ードの靴が台無しになってしまったのだ。本当に申し訳ないことをしてしまったと思っている。

しかし、あれだけの撮影ポイントはそう簡単には代わりは無いほど魅力的であったのは確かだ。
今日のまなちゃんのいでたちは、ダークグレーのパンツスーツと黒のマーメイドラインのドレスで
ある。パンツスーツは今日のロケーションにピッタリであったと思うし、ドレスもアンマッチの妙
という感じである。

今朝は早朝の7時前にまなちゃんを迎えに行ったのだが、綺麗にメイクもヘアーも出来上がってい
たのには驚いてしまった。5時半に起きたらしいが一昨日パリから帰国したばかりで時差ぼけで朝
方まで寝れなかったらしい。7時半頃出発して、犬島行きの郵便船が出る港に着いたのが10時過
ぎであり、かなりのロングドライブとなったので、眠くなったら寝てもいいと言ったにもかかわら
ず、いろいろとヨーロッパ旅行の土産話をしてくれたのである。実は今日も疲れてるだろうから、
また今度にしようとかと言ったのだが、気持ち良くOKしてくれていたのだ。
結局、そんな気分で撮影に望んでくれることが一番嬉しいし大事なんですよね。

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