TS−E45mmF2.8購入報告


前回、シフトレンズのことに少し触れたが、さっそく買ってしまったのである。
悩みに悩んだ結果、90mmではなく45mmを選んだ。
私が一番信頼するアドバイザーでもある神戸の中古カメラ店のオヤジが言うには、90mmがポー
トレートには良くて、最近はプロのカメラマンが目を付け出して良く売れるとのこと。
その意見に乗って、90mmにしようと思ったのであるが、好きなカメラマンである魚住誠一氏の
45mmで撮った作品を見て、シフトレンズに興味を持ち出しただけに初心を大事にするというこ
とと、手持ちでも使いやすく風景でも応用範囲が広そうな45mmにしたのである。
それと、標準レンズ程度の距離感でフルショットを撮った場合、どうしてもデフォルメされてしま
い、望遠で撮るようにバランスがよくないのだが、それが改善されるってわけだ。

値段は、旧価格の32%OFFで、かなり安く手に入れることができた。しかも新品である。とは
言っても金融新品であり、聞こえは悪いが私がはじめてのユーザーということで中古ではない。
その店のオヤジは今の愛機であるRSもそのルートで新品を手配してくれたのだ。ちょうどあの頃
は、RSが発売されて予約者とスポーツカメラマンに流れてしまい、メーカー在庫が底をついてい
た時で、買いたくても買えない状況だったのだ。
その点、EOS−3はそこまでして欲しいとは思わない・・・・

EOSマウントのシフトレンズは24mm、45mm、90mmの3本が用意されており、AFは
使えないのだが、それ以外は完全電子マウントとなっていて非常に使いやすい。また、MFでのピ
ント合わせもAFレンズのピントリングとは違い、FDレンズのそれと同じタッチであり、使用感
はすこぶる良好である。
また、テレコンも問題無く使えてしまうので、用途が広がる。

シフトレンズと呼んではいるが、正式にはアオリ機能を持ったレンズというべきだろうか。
アオリとは、傾けるアオリとして上下に傾ける“ティルト”と、左右に傾けるスウィングがある。
それとフィルム面に対して平行に左右にずらす“シフト”と、上にずらすライズ、下にずらすフォ
ールがある。それらすべてを総称してアオリと言うのだ。
しかし、とってもややこしいので、TSレンズの頭文字はティルトとシフトだから、今後は傾ける
のを“ティルト”、ずらすのを“シフト”と呼ぶことにする。

昨日は部屋の中で、ティルトとシフトをいろいろ試してみたが、想像以上に不思議な世界がファイ
ンダーの中で起こった。特にシフトに関してはモデルの目の高さでカメラを構えて撮っても腰まで
しゃがんでいるように見えるのだ。だから、ビルを撮った時に頂上が細く短くなってしまうのを補
正する場合に使われるシフト機能をポートレートに流用するってことである。

シフトの使い方としては、カメラ位置が高い場合は下にシフトし、低い場合は上にシフトさせれば
良いのである。それで、顔の位置から全身を撮ると顔が大きく写り、脚が短くなってしまうのだが、

それがきれいに補正されるってことだ。
シフトでひとつ注意が必要なのは、下側にシフトさせた場合はフレームの下側に、上側にシフトさ
せた時はフレームの上側がかなりアンダーになるってことだ。最大で1EVの光量が不足するので
ある。もともとこのレンズは一般のレンズに比べてイメージサークルを広く取っているが、シフト
させることにより、周辺光量が低下する領域を使いに行くことになるのである。

次にティルトであるが、簡単に言えば被写界深度のコントロールが自由にできるってことだ。
厳密に言えば、被写界深度は普通絞りで決めるのだが、ピントの合う面の位置と量をコントロール
すると言った方がいいのかもしれない。
確かに、ベンチに寝転がったまなちゃんを、横から狙った場合に顔だけにピントが来て、それ以外
をボカすってことは簡単にできそうだ。また顔の方から斜めに狙った場合は全身にピントを合わせ
ることも可能である。さらにシフトを併用すれば歪みを無くすこともできる。

被写界深度のコントロールって絞りで調節できるではないか・・・と思う人も多いであろう。
そんな人は考えが甘いのだ。絞り開放でパンフォーカス写真が撮れるということは、シャッター速
度がまったく違うってことだ。最小絞りまで絞り込んだ状態では三脚無しでは撮れないし、風が吹
いていれば被写体ブレになってしまう。また、ポートレートでは不可能なことである。
簡単に言えば、早いシャッター速度と、深いフォーカス面を同時に手に入れることができるってこ
とだ。

昨日まで、縦位置で構えることがほとんどの私はどうすればいいのか疑問だったが、マウントの少
し上に、ロックレバーがあり、それを押せばレンズ自体がスムーズに回転するのである。だから縦
横斜め自由自在にアオリ撮影を楽しめるってわけだ。
これは、なかなか面白そうではないか!

と、気がつけばまなちゃんがさっぱり分からないことを書いてしまったぞ。多分読んだとしても、
ここまでくるまでに、ギブアップしていることだろう。
週末の撮影では、まなちゃんをモデルに早速このTSレンズを試してみたいと思っているのである。
ちょっとモタモタしてしまうかもしれないけど、お付き合いお願いね!。

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