視線入力って使える機能か?


この撮影雑記では、写真と言うとても大きな世界の中で、部分的な面を書いているに過ぎない。
それはジャンルで言えばポートレートであり、技術的な部分もそのポートレート撮影をベースに書
いている。
しかし、それはどこかの解説書を右から左に転記したのではなく、すべて私自身の経験に基づいた
事実をもとに書いているつもりである。実際、文章にして表現するのと、適当にくっちゃべるのと
は雲泥の差で、文字情報として残ってしまうのは、辛い部分もある。
雑談の中でなら、その時の雰囲気や手元に機材があったりするので、上手く伝わるのだが、それを
貧弱な文章力で見えない人に分かってもらうのは結構大変だったりする。伝わる伝わらないという
ことと共に、嘘を書いてしまうことが一番問題なのだ。話し言葉のように時とともに流れ去ってい
けばいいのだが・・・

一応は間違いのないように気を付けてはいるのだが、ミスっていても許していただきたい。
原稿料をもらって記事を書いている人って、そりゃもう大変であろう。製品名を間違ってしまった
りしたら問題だろうし。

最近無責任な記事だと感じたことがある。それはアサヒカメラのEOS−3についての記事である
が、その人は記事を書く前にもっと基本的なカメラ操作を身に付ける必要があるんじゃないか。
私はこの撮影雑記がいかに私個人の書き込み場所であったとしても、個人攻撃はしたくないので、
あえて実名は書かないが、この記事では視線入力が自分の意思に反した動きをすることを、延々と
書いているのだ。それは自分のカメラのホールドが安定していないことを、自ら公言しているだけ
でプロとして恥ずかしくないのだろうか? 最後に次期EOSのフラッグシップに視線入力が採用
されることを一番恐れると書いて締めくくっているのだ。

他誌でレポートを書いている人は、視線入力を使ってバンバン撮りまくっているというのに・・・
しかし、もしかしたらこの人は、すっごく正直で勇気がある人かもしれない。私など想像も付かな
いようなプロの撮影では、本当に使えないとも考えられる。雑誌記事という色々難しい制約の中で
勇気を持ってホンネを書いたと考えられなくもない。
しかし、一般のアマチュアの読む記事として決めつけるような書き方は、考慮が足らないのは確か
だと思うのだ。
新しい技術に反発する人は上級者以上の人が多いが、プロがこのような姿勢ではいけないと思うの
だがどうだろう。
鋭い感性を持ったアマチュアが、ハイテクを使いこなして向かってきた時に応戦できないんじゃな
いかな?

EOS−3に関しては、あちこちでユーザーの使用感を目にすることが増えてきたが、やはり話題
の中心は、45点測距と視線入力に集中しているようだ。
見ていると、視線入力をどんどん積極的に使って撮り出している人と、使い物にならないとぼやい
ている人に分かれている。使えないと言っている人の意見として、スーパーインポーズで赤く光る
サインがファインダーの右端と左端で輝度が大きく違うようでは作りがいい加減な証拠であると…
しかし、それもまた使い方が悪いだけのことであり、少し工夫すれば事も無げに解決したりする。
それは、EOS−1Nなどと違ってファインダーの覗き方が歪んでいると、そのように見える構造
になっているのだ。そのようにしっかりファインダーを見れない人のことまで、キヤノンは面倒見
切れないわけで、\185,000という値段設定からも分かるように、カメラのホールドを含め
ある程度の基本ができている人を前提としなければ、45点もの測距点の視線入力なんて出来るは
ずがない。
文句をだらだら言っている人と、上手く付き合っていける人との差は広がる一方なのだ。
ハイテクを駆使するのなら、メーカーもこのような人間のミスを補ってやるべきだと考える人もい
るだろうが、もう充分やってくれているじゃないか。せめてカメラぐらいしっかり持ってほしいで。

私が視線入力が難しいと感じた状況は、こんな時である。
モデルと正対して撮る場合は、まったく問題ないのだが、ロケーションの状態によっては、寝転ぶ
こともあれば、上体を大きくひねらなければいけないこともある。そんな場合はファインダーをか
なり斜めから覗くような状況となり、視線入力不可で自動選択モードに切り替わってしまう。
当然と言えば当然である。だから、そのような場合は素直に任意選択にチェンジする方が絶対に上
手くいくわけだ。相手は機械なのだから、目くじら立てても仕方がないので、仕組みを少しでも理
解して、いい機能と仲良くすれば腹も立たなくてすむ。このカメラマンのイライラってーのは、モ
デル側にとっては迷惑極まりないわけで、本人だって撮影に集中できないはずだ。

実際にモデルを連れて撮影に出た場合、この身勝手なイライラと、技術的な不安感は絶対に見せて
はいけない部分である。だから、私は失敗なく仕上げられることを自信を持ってやるようにしてい
る。しかし、それだけでは進歩がないので、新しいことにもチャレンジするわけで、そんな時は、
「今日はちょっとテストさせてね」とお願いしている。本当はそんなテストなど撮影会にでも出か
けてやればいいのだがTSレンズなどはやはりじっくりやりたいので、まなちゃんにお願いするわ
けだ。今度のEOS−3だって同じことで、本番前にまなちゃんにテスト撮影を頼んだのだ。
こうやって、正直にテストを兼ねていることを打ち明ければ、優しく見守ってくれるのだから。

土曜日にちょっとした集まりがあり、そこにでも当然カメラマンをしたのだが、RSとEOS−3
の2台体制で挑み、終盤になると行事用の写真はRSにお任せして、プロビアに入れ替えたEOS
−3では、集まった女の子を撮っていたのだ。テスト撮影といえども、やっぱり女の子がモデルで
なくっちゃ!

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