『素顔のままで』第8弾−2
今回の晴れ着での撮影だが、着物での撮影と言えばフルショットというのがお決まりであるが、私
のイメージには、フルショットはそれほどなかった。と言うより着物の定番写真になってしまうこ
とへの拒否反応だったのかもしれない。それに着物カタログのようになるのも嫌であった。
まなちゃんが着付けをしている間に、ちょうど着物のスタイル集のようなものがあったので、少し
でも参考になればって思い、パラパラの見てみたが私の感性にヒットするような写真は一枚も無か
った。つまらない写真ばっかり・・・
先日も書いたが、『素顔のままで』では一般的なポートレートというカテゴリーとは区別して考え
ており、あくまでも“まなちゃんの写真”ということなので、着物だからといってそれを見せるよ
うな写真にはしたくない。ただし、着物を着て京都に来たことによる雰囲気は感じさせたい。
だから、振り袖姿であればどこでも良いってわけではなかったのだ。まなちゃんのマンションから
すぐ近くの鶴見緑地や万博の日本庭園でもいいかな?とも思ったが、たとえ道中が長くても、京都
まで足を伸ばしたいと感じたのだ。心配したのはまなちゃんが長時間クルマに乗るのを嫌がるので
はないかということだったが、あっさりOKしてくれた。(こんないい子はめったにいないで)
これが、撮影会としてであったなら、迷わず鶴見緑地に決定していたことであろう。しかし、今回
は京都の嵯峨野であることにこだわりたかったのだ。振り袖姿で歩き、また京ぜんざいを食べるこ
とで、古都京都の雰囲気がまなちゃんに乗り移ることを期待したわけである。
これは、わいわいガヤガヤと大勢での撮影会では、ちょっとそれを期待しにくいと思うのだ。
最近の私たちの撮影は、私が撮影ポジションと光の当り具合、身体の角度などを担当し、細かなポ
ーズと表情はまなちゃんにお任せって感じである。
構図の決定権とシャッターを切るタイミングは100%私にあるのだが、セッティングした時にほ
ぼ決まっていて、使用するレンズも決めている。しかし、まなちゃんが作る表情によって私のイメ
ージが軌道修正されることも珍しくはない。それによって当然のことながら構図は変化する。
グッと寄る時もあれば、横に回り込んだり、上から撮ったりってことになる。
このような現象は計算外であるが大歓迎であり、いいカットはこのような流れの中で撮れる場合が
結構多いのである。
今回は、最近の私には珍しくソフトフィルターを使っている。私は77mm径のフィルターホルダ
ーを使用しており、72mmについてはステップアップ・リングを持っていたのでEF85mmの
F1.2では使用していた。最近、58mmを77mmにするステップアップ・リングも何かのつ
いでに買っておいたのである。
EOS−3のAFテストもしたいと思っていたので、85mmF1.8でソフトフィルターを使っ
てみた。
1N系がケンコーのソフトンAフィルター使用時に中央以外の測距点でAFがなかなか合焦しなか
ったので、EOS−3ではどうかというのを試すつもりであった。結果としては、中央付近の7つ
のクロスセンサー以外の測距点では、期待を裏切って合焦しなかった。
1Nと同じ結果であるので、それほど気にすることでもない。
ソフトフィルターを使った本来の目的は、冷たい風を受けてチキン肌と化したまなちゃんの首筋を
寄り気味で撮りたかったからである。せっかくきれいに髪をアップしているのに、それを撮らない
わけにはいかんでしょう。チキン肌を分からなくするために、ハイキー調にし、さらにフィルター
をかけたってわけだ。寒い思いをさせてホントにごめん。
それから、小物は一応持って行ったのだが、使うことはなかった。小春日和の暖かい陽気であれば
そんな気分になるのだろうが、今回はそういった雰囲気ではなかった。
寒そうにしていたまなちゃんに比べ、私は常に汗ばんだ感じであったのだ。
それほど厚着をしていた訳ではないが、一度も寒いとは感じなかったのである。ばっかみたい!
重たいバックや三脚、レフを持って歩いていたこともあるが、それだけではない。
バックを置いて、撮影している時でもそうなのである。
それは、常に撮影ポイントを探し、撮影中もレフのセットやレンズ交換などの肉体的な部分もある
が、頭の中で自分の描くイメージと、目の前のまなちゃんを重ねあわせて、実際の構図と露出を決
める作業が結構ハードなのだと自己分析しているのだが・・・ 今まなちゃんは、どんなイメージ
を描いているのだろう・・・? また、疲れていないかな・・・? なーんて無い知恵をしぼるこ
とが一番の重労働だってことかな。