このままじゃいかんのだ
まなちゃんと私のコンビに興味を持ってくれ、よくメールをくれる方から久しぶりにメールが来た。
長期出張に出ていたらしく、帰ってきてさっそく京都での振り袖写真を見てメールしてくれたので
あった。
満足してくれたようだったので、内心ホッとしながら読んでいたのだ。その中にこんなことが書い
てあった。
「本当は、着物のような過度の虚飾(言葉が悪いかなあ・・・)って嫌いなんだけど
この二人にかかると、俺のくだらない感性なんて吹き飛ばされてしまい・・・」
あんまり、引用したら怒られてしまうかな?
でも、この部分は重要なのだ。実はまなちゃんにも言っていなかったが、私は和服が好きではなか
ったのだ。今まで余り着物姿の女性を良いとは思ったことがなかった。
キヤノン主催のEOS撮影会では、舞妓さんと芸子さんが祇園からやってくるが、まったく被写体
として興味が無かった。
他の人はどうだか知らないが、私は着物姿の女性に女の色気を感じたことがなかったのだ。
それは、成人式に似合いもしないのに、振り袖を着てジャラジャラ歩いている女どもを見せつけら
れているからかもしれない。まったくどうなってやがるんだ、あいつらは。
しかし、大好きなまなちゃんからお願いされた振り袖姿の撮影は、是非やってみたいと思っていた
のだ。私が撮るからには、呉服屋のカタログ写真のようには絶対にしたくなかったし、「綺麗だね
可愛いね」なーんて写真には意地でもしてやんないって思っていたのだ。
それより何より、色気と艶っぽさを出してやろうと腹に決めていた。
しかし、着付けが終わったまなちゃんを美容院で見た時に、何とも情けないが「いいじゃないの」
なんて思ってしまったんだ。
成人式の日は街中に振り袖の女のコが溢れかえるが、そろいも揃って、首に白いフワフワを巻いて
やがる。可愛い子も首の短いぶさいくな子もな。私は、それがどうも気に入らなかったので、今回
の撮影の前にまなちゃんに聞いたのだ。するとまなちゃんは、あんなもの付けたら、せっかくを髪
アップしても意味無いからと答えたのだ。それを聞いて内心「しめしめ、さすがまなちゃん分かっ
てる」って思ったのである。
撮影に入ってからは、まなちゃんは私の狙いを分かっているのか、同じイメージを持っていたのか
今回のテーマである、「色気と艶っぽさ」を見せてくれた。
看護学校の受験が終わったばかりのまなちゃんとは、撮影前にそんな打ち合わせをする暇も無かっ
たのだが、言うこと無しってとこだ。
実際、今回の撮影ほど私がまなちゃんにポーズや表情の注文をつけなかった撮影は無い。
それどころか、まったくしなかったと言ってもいい。
それほど、私のイメージした通りのまなちゃんが目の前にいたのだ。
ここでまた、先ほどの方からのメールだが、こんなことも書かれていた「今のJOEさんと愛さん
は安定期にあると思う。」と。
しかし、これにはハッとさせられるものがあったのだ。私は、まなちゃんがイメージしてた通りに
演じてくれたことに単純に喜んではいられないのだと・・・
まなちゃんのモデルとしての感性が私を追い越し、それを私が追いかけて行くという撮影になって
しまうのも時間の問題ではないかと、思えた瞬間であった。
次回の芸大の撮影が目前であるが、今回は、ちょーっと注文をつけさせてもらおうかな。
その方が、まなちゃんだってやり甲斐があるってもんじゃないかな。
でも、私の考えることなんか、とっくに見透かされていたりして。それどころか、もっと上行かれ
てしまうかもな。