『素顔のままで』第9弾
2月20日に京都で第8弾を振り袖で撮影したが、まなちゃんも満足してくれたようでお誉めの言
葉を頂いたぜ。せっせとPM−700Cでプリントアウトしているようで、お世話になったシアト
ルのファミリーに送る分の印刷は終わったのかな。
日曜は1日雨だったが、第9弾の撮影をした土曜は言うこと無しの最高の撮影日和。元々日曜に撮
影する予定だったのを変更したのだが、まさにラッキーだね。
とても暖かくてまなちゃんはノースリーブやTシャツ姿で撮影に挑んだがぜんぜん寒そうではなか
った。とは言っても90%が屋内での撮影であったのだ。屋外であれば晴れようが雨が降ろうが関
係なさそうだが、全て太陽の光が入り込んでくる最高のロケーションなのである。直射日光が当た
る所もあれば、これ以上はないというほどの間接光が入る場所があるのだ。この場所があったから
大阪芸大の撮影を決めたと言っても過言ではないのだ。
それは、現役の芸大生のさえちゃんの案内でロケハンした時に見つけたポイントであった。土曜日
は丁度まなちゃんをそこで撮影中にそのさえちゃんが、首からOM−10を下げて遊びにやって来
た。
さえちゃんは、まなちゃんを写真でしか見たことがないがメールではやり取りがあった。さえちゃ
んは、動くまなちゃんを見れたことで、緊張していたがしっかりOM−10で横からパチリとやっ
ていた。「うわぁー!まなちゃんやー」って大感激のさえちゃんだったが、レフ持ちまでさせてし
まった。
今回は、基本的には4ヶ所でしか撮影していないのだ。それも芸大のキャンパス内であるから、ほ
とんど移動時間が要らないってことになる。撮影場所を探してさまようこともなく、順調に撮影は
進んだ。また、衣装も途中2回の着替えが入り、3パターンのまなちゃんが見れる。
前回の晴れ着とは打って変わってヘアーも自然で、ファションもいつものもまなちゃんに近いもの
である。
ここで、ちょっと気になっていたことを少し・・・『素顔のままで』のタイトルであるが、これは
普段のまなちゃんをそのまま写真にするってことではない。特に第4弾のブラック系などは素顔と
はかけ離れていると思われている人もいるようだ。しかし、そんな人は見方も考え方もが浅いぞ!
私は、まなちゃんに事前に細かいシナリオを渡しているわけではないのだ。ロケーションや全体の
イメージの案は伝えるが、それを押しつけるようなことは一切していない。あのブラック系も、ま
なちゃんの潜在的なイメージの中で変身したれっきとしたまなちゃんであって、私が作り上げた姿
では決してないのだ。ブラック系だけではなく、すべてはまなちゃんの中で消化されて表現されて
いる。
勝手にまなちゃんの日常を想像することは自由だが、それからかけ離れていたとしても、まなちゃ
んの身体を使ったオブジェだとは思わないで欲しい。私はまなちゃんの表現したいものを撮影中の
空気で受け止めてシャッターを切っているのだ。[素顔=普段の姿]と短絡的に考えず、潜在的に眠
っているまなちゃんだって、創造物では無いってこと。
但し、私もカメラを持っている以上自己表現の欲求はある。それどころか、他人に負けないほどそ
れは強いと自負している。しかし、その自己表現は自分の考えをモデルのまなちゃんに押しつける
ような傲慢さではないと考えている。まなちゃんはそれを無理やり押しつけて活きるモデルではな
く、彼女の豊かな感性をスポイルせず、増幅させてあげることだと思っているのである。
シフトレンズの購入もその現われであり、今回もばんばんアオリを使っている。
話しは芸大での撮影に戻すが、まず芸大に着いて私がしたことは撮影ではない。今回の撮影で使う
ロケーションを全て見せてまわったのだ。その間カメラはバックの中に入れたままで。
私はロケハンをして、ある程度構想は完成していたが、ロケハンの写真を見ただけのまなちゃんに
今回の舞台となるポイントを実際に見てもらうことにしたのだ。ここが、まなちゃんとの撮影の特
徴と言えるであろう。この時間はカンのいいまなちゃんには大切であると私は考えているのである。
また、「今日は自然の緑を交えたような撮影はしないよ」とも宣言した。
今回の撮影では15本のフィルムを使ったが、普段よりもワンポーズで多くのシャッターを切って
いる。まなちゃんも「今日はシャッター押す回数が多いね」と言っていたが、意識してそのような
撮影スタイルをとった。
一番最初にまなちゃんを撮った時だから、『素顔のままで』のシリーズが始まる前から気がついて
いたのだが、まなちゃんはワンシャッター毎に表情が微妙に変わる、と言うか深みを増す。
ほんの1ミリまぶたや瞳が動いただけで印象は大きく変わるのだ。黙って連続シャッターを浴びせ
られているだけのモデルでないのが、まなちゃんである。私も闇雲にシャッターを押しているわけ
ではなく、お互いのリズムが上手くかみ合った時にシャッターの数が増えるって案配だ。
また、この連続シャッターに耐えられるモデルもはそんなに多くはないぞ。