新戦力


さて、前回ここで望遠レンズの描写を見直したと書いた。
そうなるには、当然のことながらイメージが浮かんでいるってことになる。明るい望遠レンズを使
いたいってことで、まず一番に頭に浮かんだのが、EF200mmF1.8Lだ。
これを読んだ方は、ついにそこに手を出したか!! と思われたことであろう。だが、残念ながら
私もそこまでは、いっちゃってない。

では、なぜこのレンズのことを思いついたか? EF70−200Lがあるのだから200mm域
はカバーできているのに。それは明るさが欲しかったのだ、ブレないシャープさが欲しかったと言
った方が適切かな。

しかし、一時期よくサンニッパを使っていたが、次第に使うことが無くなっていった。それは、あ
の図体の大きさであったわけで、微妙な表情の変化を追いつづける私の撮影スタイルは、スポーツ
写真と違って、ピクリとも動かさないでホールドする必要があるのだ。私は空手をやっていたこと
もあって、腕力には自信があるのだが、2時間サンニッパと1N HSを手持ちすればかなりこた
える。だから無理して手持ちで撮らずに一脚を使っていたのだが、いかんせん荷物が増えるのだ。

ニーイッパともなれば、サンニッパより重いし太い。それにカメラバックに入れて持ち歩くことも
出来ず、肩から下げて移動しなければならないし、当然一脚も同伴となる。
これは、レフとそれを固定する為の大きなGITZOの三脚を持たなければならない私としては、
いくら力を振り絞っても、2本しか手がないのだから、無理ってことだ。
仮にそれが出来たとしても、そんな私の姿を見たまなちゃんが黙っているわけがないのだ。

そこで、私は考えた。私が求めているのはブレずに望遠を手軽に使いたいってことで、さらに贅沢
なことは、ISO100までのリバーサルを使うことが前提であるってことだ。
単純に考えれば、明るいレンズってことになるが、そうなると被写界深度が非常に浅くなってくる
わけだ。しかし、私が考えている望遠レンズを使ったイメージは、その薄っぺらい被写界深度が、
それほど必要ないのである。200mmF1.8なんて絞ってしまえば当初の目的であるブレ対策
にはならないんだな。

カンのいい人は、そろそろ察しがついただろうが、ターゲットとなったのは、キヤノン得意の防振
機能であるイメージスタビライザー機能を搭載したEF300mmF4L IS USMである。
実は、このレンズの前モデルを私は持っていたのであるが、その後サンニッパに換えたという経緯
がある。IS機能付きのこの新レンズは前モデルとそっくりなのだが、レンズ構成を手直しどころ
か、完全に一新して、最短撮影距離が2.5mから1.5mになっている。これは3mのサンニッ
パの頃から気になっていたことで、大歓迎なのである。これだけで、利用価値がかなり上がったと
も言えるのだ。

で、早くも手元にあるこのIS300mmだがぁ、さっそく私の機材調達ルートに問い合わせたと
ころ、TS45mmを手に入れた時に負けないほどの、逸品を準備してくれたのだ。
さっそく、近くに転がっていたEOS−1にセットしてみたが、何とこんな楽をさせてもらっても
いいのだろうか!ってほど効果満点だったのだ。
そこのオヤジも「あんたなら1/30切れたら大丈夫」って太鼓判をくれたが、本当にそんな感じ
だ。

今までISレンズと言えば、28−135mmを店頭で覗いたことがあっただけで、超望遠は初め
てであったが、ここまでの焦点距離となると、効果の程が身に染みて分かる。これだけ安定すると
は思ってもみなかった、と言うのが正直なところだ。
今、手元にこのレンズを付けたEOS−3があるが、暗く狭い部屋の中で壁にかかったTシャツに
向かってピントを合わせてみると、一秒ほどで私のブレを察知してピタッっと静止する。

このレンズなら、カメラバックに楽々と収容できるので、荷物が増えることもない。不満点はAF
速度が遅いことだが、まぁ、これは85mmに慣れているのでそう思うだけで、USMであるから
快適ではある。
『素顔のままで』では200mm以上のレンズは一度も使っていなかったのだが、今後このレンズ
を使ったカットが加わることになる。ギュッっと圧縮された超アップも可能であるし、三次の自然
のなかでのフルショットもこれで撮るつもりなのである。

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