久しぶりに撮り方でも書こうか


最近の撮影だが、考えてみると露出なんかをそれほど考えて撮ることがなくなったような気がする。
先日の撮影では、撮りだす前にイメージにあわせて露出の補正値を決定し、そのままで最後まで撮
りきってしまった。
いい加減なようだが、仕上がりは私が予想した通りで描いていたイメージをしっかり再現してくれ
ている。
ちなみに今回基準としている補正値は+1EVで、普段より少し低めであり、更に日が傾いて色温
度が下がっているので、日中より更にアンダー目の設定となる。
使ったフィルムは、軟調目のASTIAである。

特に今回はやや切り詰めた露出で押し通しているが、埋立地のコンテナと絡めた雰囲気としては、
これで正解であったはず。まなちゃんもしっかりそれにマッチした表情をしてくれている。
いつものことながら、お互いに示し合わせた訳でもないのに、私のイメージしたことをロケーショ
ンや、雰囲気で感じ取ってくれるまなちゃんはエライと言うより、私にとって最高の相手なのだ。

だから、私はモデルであるまなちゃんに神経を集中させて他のことを気にしたくないのである。
その結果、露出云々を撮影中に考え込むことはしないようにしていたが、いつの間にかそれが、私
の撮影スタイルとなってしまったようだ。

過去にも何度か書いたと思うが、私はスポット測光を使っている。単体露出計も常備しているが、
最近では使うことはほとんど無いし、使う必要性をまったく感じないのである。
自由にモデルに近づくことが出来る個人撮影では、たとえ28mmレンズを使っていても好きな所
で測光できるわけだ。その測光するポイントを変化させることで、二次的な露出補正を行っている
と言える。

この二段階の露出補正によって最終的な露出を決定するが、それが決定されるのは一瞬のことであ
り、シャッターを押されるのを待っているまなちゃんを待たせることはしない。
背景の構成や処理はカメラを構える前にほぼ終了させており、レンズ越しに見てイメージしたもの
とのギャップがなければ即シャッターチャンスを探す体勢にはいる。
厄介なのが、背景や衣装などの輝度差の見極めであり、これもちゃんと考えており、露出を測りま
わって、細かくチェックするようなかったるいことなどしなくても、白く飛ぶ部分と黒く落ちる部
分は大体分かっていて、それを考えて構図を決めている。

今回のように黒っぽいコンテナを使った撮影では、こんなことを考えて撮っている。
地味な色のコンテナがオフセットされて2列に並んでいる所を、最初の撮影場所に選んだのである
が、沢山あるポイントの中で、引き付けられるようにその場所に決めたのだ。

まなちゃんは黒いTシャツを着ていたので、上半身をフレーミングすると、バックの色合いも含め
て完全なローキーになる状況である。
闇夜のカラスでもあるまいし、このままでは余りにも芸が無い。そこでこの場所を選んだポイント
でもあるコンテナとコンテナの間に出来た細い隙間を利用しているのである。そこからは向こう側
の明るい空がのぞいているので、いいアクセントとなっているし、まなちゃんがシャドウに沈み込
んでしまうこともなくなる。

そんな場合、気になるのはリバーサルフィルムのラチチュード内に収まるかどうかだが、これも特
に測ることをしなくても問題ないと判断したが、結果も予想を裏切っていないし、結果オーライな
んてことでもない。

もうひとつのロケーションとしては、銀色のコンテナに張り付いてもらい、軽いレフ効果も期待し
つつ、遠くの青いコンテナをボケとして構成したが、85mmで切り取ったアップ気味のカットは
いい感じでボケており、淋しくなりがちな構図に彩りを添えている。
一方、28mmでのカットは広い敷地を強調するために、積み上げられたコンテナたちを確実に見
せるようにしているが、顔を明るく写そうとして、露出を開け気味にすると、バックに締りがなく
なるので、この場合のみストロボを併用して、バランスを取っている。

このように、最近では広い視野で見渡せるようになってきたようで、シャッターボタンに指が掛か
ってからは、まなちゃんだけに集中しているわけだが、写真的な観点でみてもある程度計算できる
ようになったようだ。

<−戻る