モノには順序ってものがある


さて、撮影会専門のカメラマンから一歩進んで個人撮影を始めると、今までの撮り方ではいけない
ことに誰しも気付くが、私の経験上、両方やって良かったと思うのである。
大勢のカメラマンとの生存競争をまず勝ち抜いて、もしくは隙をついて撮っていたのが、１００％
自分だけの一挙手一投足をモデルが注目してくれることの快感をツクヅク感じるわけだ。

例えば、撮影会写真で目線を外したカットの場合、ほとんどが他のカメラマンを見ているか、そう
でなくても、意識は何処かへ行ってしまっている。その点、マンツーマンであれば常に私を意識し
てくれているのだから、撮った写真から感じるものが違って当然だし、第一撮影している私の気持
ちもノッテくるってものだ。

このノリってやつは個人撮影では非常に大事で、私がノレばまなちゃんもそれに合わせて気分よく
モデルしてるのがこちらにも伝わってくる。そうなればどんどん相乗効果が発揮されるのである。
もう、この感覚が染み込んでしまうと、撮影会に参加しようという気にならなくなってくるのだ。

今度は逆に撮影会のいい所ってなんだろう。このままでは個人撮影のいい部分だけがクローズアッ
プされてしまう。
それは、個人撮影でお気に入りのモデルの女の子と一緒にいい気持ちになりたければ、もたもたし
てしまうことがあってはならないし、そのモデルが気に入る写真を撮ってあげれなければ話にもな
んにもならないのだから、その前にしっかり経験を積んでおかなければならない。
それに撮影会を使わなくてどうする。

確かに、大撮影会ともなれば個人撮影と違ってメインとなるレンズも違えば、モデルとの呼吸もま
ったく違う。しかし、露出パターンのキモを掴むこともできるし、女の子を撮る上での構図や表情
の捕まえ方が自然に身につくのである。
それに、モデルや他の参加者に気を使わずにじっくり考える時間も作れるし、多くのモデルたちを
見ることで、学ぶことは非常に多いのだ。

ここで、ある程度自信がつけば、少人数の撮影会に思い切って行ってみることだ。ここでは性格が
大きく影響して、巧い人に張り付いて質問攻めにするタイプ。それに対して、他の撮影者に遠慮し
たり圧倒されて小さくなり、結局陰からおこぼれだけを撮って帰ってきてしまうタイプで、これは
困りものである。
しかし、それは自信をつけることで充分に克服できることなのだ。
自信がないからそうなってしまうだけで、めげずに通うか、もう一度大規模な撮影会で、じっくり
と自分のパターンを確実なものにするのである。

それでも、大事な課題がひとつ残っている。それは、モデルの女の子とのコミュニケーションだ。
それは、いくらイメージトレーニングしても、上手く？いや慣れることはできない。
そこでだ。どうやって、こいつに慣れるかだが、どんな撮影会でも人気モデルとイマイチ淋しい思
いをしているモデルにはっきりと分かれている。
誰でも人気のあるモデルを撮りたいし、自分の好みを優先するのは当然であるが、練習しようと思
えば、少ないカメラマンに撮られているモデルに目をつけるのもいい考えだ。
せっかく参加費を払ったのであるから、人気モデルを撮りたいと思う気持ちも分からないではない
が、ここは勉強だと思うことである。

大撮影会のいい所は、常連の参加者に惑わされることが少ないので、自分のペースが乱されないこ
とだと思っている。だから、そこの最も小さな輪に飛び込んで撮りだせば、モデルの女の子は必ず
目にとめてくれるはずである。これだけで、半分成功したようなもの。
それが、大きな輪であれば群衆の中から自信なげに声をかけても、どこの誰から声をかけられたの
か気付かれないままってことが多いし、そういう空振りをしてヘコんでいる隙に慣れた目立つカメ
ラマンに持っていかれたら、余計に自信を無くすだけである。
ここで注意したいのは、目立つカメラマンの半数はモデルに嫌われるような、ずうずうしいオヤジ
であることが多いが、その見極めも自然に出来るようになるので、決して真似しないように。

撮影会のモデルは、声をかけてくれることを待っている場合が多い。特にそれほど人気の無いモデ
ルの場合はその傾向がある。不慣れなモデルは自分もどうすればいいのか分からないで、余計に窮
地に追い込まれていることがあるようだ。
そんなモデルに声をかけてあげて、簡単なポーズの指示でもしてあげれば、今までのことが嘘のよ
うにいい感じで撮れだすはずだ。
そうなれば、しめたものでその日はラストカットまで、そのモデルと過ごせばいいのである。

兎にも角にも自信をつけることである。それさえ出来れば常連が大きな顔して、顔見知りのモデル
と仲良くしているような少人数の撮影会でだって堂々としてられるのだ。
これが出来るようになれば、案外個人撮影の方がお気楽だったりするのである。
但し、モデルの女の子といい関係を続けることには全然つながらないので、誤解の無いように。
あくまで、カメラマンとして「大丈夫かなぁ・・・この人」って思われなくなるだけなのである。
そう、ここからが大変であるし、極意なんてものも存在しないのかもしれない。

そんな恵まれた私だが、まったく知らない撮影会で久しぶりにもまれてみようかとも思っていたり
するので、どこかであったら無視しておくれ！

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