綺麗な写真で終わらせたくない


私は、元々風景写真専門であった時期が長かった。
その頃から、カメラを持って一人で被写体に接してきて、自分のイメージの中で流れる時間で撮影
してきた。
そして、自由に自分の発想を巡らすことが、私の撮り方のリズムであった。
だから、ポートレート撮影会にも単独で行くことになる。
よく、グループで参加している人が多いが、私にはそれは出来ない。

それは、無関係な参加者がたとえたくさんいようと、それは物理的な制約を受けるだけで、なんら
精神的に影響を与えるものではないし、意識を撮影だけに集中できるのである。
しかし、誰かと一緒に参加したりすれば、その人を放っておくことの出来ないタイプの私としては
撮影がおろそかになってしまう部分が多分にあると予想される。
実際に、そういう参加の仕方をしたことが過去にあったが、納得できる作品を残せていないのだ。

私が、まなちゃんやゆみちゃんを撮る時に、絶対撮影会の形式を取らないのにも、これが大きく関
係していることは事実である。
私が、ポートレートを撮る場合に、その日でイメージやシチュエーションは違っても「愛しい女の
子と過ごす時間」という大前提は崩せないのである。

そうなると、現在のスタイルを通すしかないのだ。出来れば完全なマンツーマン撮影をしたいが、
レフや荷物を持ってくれる人は、それほどでもないのだ。
それは、モデル側が完全に無視できる存在だからであって、それがカメラマンであれば、完全に私
にとって“恋いがたき”となるのである。

そうだろ？私がまなちゃんを彼女だと思って、アプローチしているのに、もう一人男がそばにいる
なんて状況自体が、おかしなことであって、ますますリアリティーが薄れていく。
それは、私とまなちゃんとの間に流れる空気が完全に違ってくることで、仕上がった写真もその結
果、ソレナリになってしまうのは分かりきっている。

百歩譲って、他のカメラマンが、ただまなちゃんを何も考えずに撮っていたとしても、現実問題と
して、デートするのに男の友達を引き連れて行くかぁ？　彼女を自慢するのならともかく、本来の
デートなんか出来やしない。

例えば、二人のカメラマンで一人のモデルをレフ持ちを交代しながら楽しく撮影したという話も聞
くが、よっぽどモデルが器用なのか、可愛い写真を撮るだけが目的なのだろう。
まなちゃんの場合、そんな撮影でも無難にこなすだろうが、そのような状況で撮影した写真をズラ
ッと並べてみると、私がこだわって撮影している『素顔のままで』とは感じる空気が絶対に違うと、
私は自信を持って言い切ることが出来るし、それぐらいのことを思ってなければ今のような撮影は
続けちゃーいない。

私の撮った写真を見て、モデルの女の子でさえ「このモデルさんはＪｏｅさんの彼女ですか？」と
言った。
今まで、カメラマンに誤解されるケースも多かったし、完全に素人の人にはそう思い込まれること
が多いが、そう思うこと自体、単に綺麗な写真を見ている心境でなくなっているということだ。
そう、花の写真を見ているのと同じ感覚で見られるのは、ポートレートではないと私は考えている
のである。
その写真を見て、綺麗な写真だけで終わるか、その後、その写真から何かを考え、想像することが
出来てこそ価値がでてくるものではないかな？

Joe's Galleryを見てメールをくれる人は、１％いるかいないかであるが「彼氏の撮った写真には
かなわないなー」という内容のメールを頂戴する。それは私としては最大の賛辞であると勝手に受
け取っているが、他の９９％の人の中にも沢山そう思っている人がいる計算になり、そんな単純な
モノでないことを分かっていただきたいのである。
当然、同じ事がまなちゃんにも当てはまり、彼女へのメールにもそういう話題が出ているのかもし
れないが、まなちゃん自身、他のモデルが撮影中にどんなイマジネーションを働かせているのかは
知らないし、自分を特別なモデルであるとも思っていない。
逆に、それが自然に出来てしまうモデルであるから、無理やり演技をしているモデルとの差が出て
いるのだと、私は思っている。

であるから、他のサイトには無い空気感をお楽しみ頂ければ、私達としては嬉しいことなのである。

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